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インドネシア法人(報酬を得る請求者側)が二重課税防止協定(租税条約)の適用で得られるメリット

公開
2023/12/04
更新
2024/02/03
この記事は約5分52秒で読めます。

国際取引における税金は、企業の経済的成功を大いに左右する存在です。予期せぬ高額の税金は、企業の利益や業績に直接的な影響を及ぼす可能性がありますが、課税免除や税率の軽減策をうまく利用することで、企業はその収益を守ることができます。 

今回の記事では、インドネシア法人が役務を提供し報酬を得る請求者、日本法人がその対価を支払う購入者という関係での二重課税防止協定の適用とその申請方法について紹介します。

日本法人が役務を提供し報酬を得る請求者、インドネシア法人がその対価を支払う購入者という関係での二重課税防止協定の適用についてはこちらの記事をご参照ください。

二重課税防止協定について

二重課税防止協定(以下、租税条約)と租税条約が必要な理由についての詳細はこちらの記事をご参照ください。

租税条約の適用について 

日本とインドネシアの企業間の租税条約を適用するには、「所得の源泉がどこか」を判断することが必要です。

インドネシア法人が役務を提供する請求者の場合、具体的には、利益を得るインドネシア法人が「恒久的施設」を持っているかどうか、そしてその「国内源泉所得」が「恒久的施設」に帰属する所得であるかどうかにより、課税の関係性が変わり、租税条約の適用が必要かどうかを判断しなければなりません。

さらに、外国法人への国内源泉所得の課税については、源泉地国の所得税法よりも日本とインドネシア間の租税条約が優先されます。したがって、租税条約によって国内法とは異なる国内源泉所得の範囲や、所得税の軽減または免除等が規定されている場合、その規定に従うことになります。

日本の恒久的施設(PE)とは 

恒久的施設(Permanent Establishment、以下PE)は、通常、非居住者や外国法人が特定の場所や代理人を通じて日本でビジネスを行うことを指します。PEの存在は、非居住者および外国法人の課税関係を決める上での大きな指標となります。例えば、非居住者や外国法人が日本でビジネスを行っていても、日本国内にPEがない場合、その非居住者や外国法人のビジネス所得は日本で課税されません。

ただし、日本国内にある資産の保有・運用・譲渡、人的役務の提供事業の対価などの所得の種類によっては、日本にPEが無くても課税される場合があります。しかしそれ以外の外国法人の事業活動から生じる所得については、日本にPEがなければ日本で課税されることはありません。

日本とインドネシアが締結した租税条約上の恒久的施設とは次のものを含みます。※1

  • 事業の管理の場所 
  • 支店 
  • 事務所 
  • 工場 
  • 作業場 
  • 農場又は栽培場 
  • 鉱山、石油又は天然ガスの坑井、採石場その他天然資源を採取する場所 
  • 建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供を、6ヶ月を超えて行う場合のその場所 

※1:「恒久的施設」の範囲については、各国の国内法によって異なる場合があり、日本が締結した各国との租税条約において、国内法上の恒久的施設と異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける非居住者や外国法人等については、その租税条約上の恒久的施設を国内法上の恒久的施設とします。

参考1:所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国とインドネシア共和国との間の協定
参考2:No.2883 恒久的施設(PE)(令和元年分以後)

インドネシア法人が租税条約を適用して得られるメリット 

租税条約を適用することでインドネシア法人が得られるメリットは、基本的に以下の二つが挙げられます。

  • サービスフィーへの源泉税免除
  • 外国法人が受領する配当、利子、ロイヤルティ(著作権等)と支店の税引後利益2に対する源泉税の軽減 

※2:支店の利益から法人税等を除いて残った残存利益

租税条約を適用することでインドネシア法人が得られるメリット

日本の源泉税率について

日本の源泉税率は、インドネシア法人の役務提供地とインドネシア法人へ支払われる所得がどこに帰属しているかで判断します。

インドネシア法人の役務提供地が日本国内の場合、PEの有無・所得の帰する所を問わず日本の国内法に従った一定の税率を掛けて算出した所得税額が源泉徴収されます。

インドネシア法人の役務提供地が日本国外の場合、インドネシア法人の所得が日本国内のPEに帰属する場合のみ、所得税額が源泉徴収されます。所得が日本国内のPEに帰属しない場合は源泉徴収されません。

尚、源泉徴収される場合は、租税条約を適用させることで課税免除や税率の軽減が可能です。

日本法人が取引先(インドネシア法人)へ料金を支払う際に適用される日本の国内法と租税条約下の源泉税率は以下の通りです。

日本法人が取引先へ料金を支払う際に適用される日本の国内法と租税条約下の源泉税率

【利子】貸付金の利子以外の場合は15.315%、貸付金の利子は20.42%
【配当金】上場株式等の配当金の場合と私募公社債等運用投資信託等の収益の分配は15.315%、それ以外は20.42%
【租税条約下の配当金への源泉税率】経営参加目的の場合は10%、資産運用目的の場合は15%

日本法人がインドネシア法人のサービスを購入する場合の租税条約が適用できる条件

  • 条件1:役務提供地は日本。日本国内にインドネシア法人のPEが無く、サービスフィーはインドネシア国内のインドネシア法人の所得として帰属する。
  • 条件2:役務提供地は日本。日本国内にインドネシア法人のPEがあるが、そのサービスフィーはPEに帰属せず、インドネシア国内のインドネシア法人の所得として帰属する。
  • 条件3:役務提供地は日本。日本国内にインドネシア法人のPEがあり、そのサービスフィーはPEに帰属する。
  • 条件4:役務提供地はインドネシア。日本国内にインドネシア法人のPEはあり、サービスフィーはPEに帰属する。

上記の条件の場合は通常、サービスフィーの源泉徴収税 20.42%が発生します。ただし、租税条約の適用を行うことで源泉税免除が可能です。

租税条約が適用できない条件

  • 条件1:役務提供地はインドネシア。日本国内にインドネシア法人のPEはなく、そのサービスフィーはインドネシア国内のインドネシア法人の所得として帰属する。
  • 条件2:役務提供地はインドネシア。日本国内にインドネシア法人のPEはあるが、そのサービスフィーはPEに帰属せず、インドネシア国内のインドネシア法人の所得として帰属する。

上記の条件の場合は、源泉徴収されないため租税条約の適用自体が不要です。

参考1:No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率

​​租税条約適用の手続き

租税条約による課税免除や源泉税率の軽減は、自動的に適用されるわけではありません。税務上の優遇を受けるためには、その国の租税手続きに従う必要があります。

税務的恩恵を受けたいインドネシアの法人(報酬を得る請求側)が、源泉徴収手続きをする日本の法人(報酬を支払う購入側)を通じて、源泉地国の税務署に提出することになりますが、基本的には源泉地国の企業側が申請書を代理で作成して提出を行います。

国際取引ごとの申請書の提出場所と申請書の種類については以下の通りです。

国際取引ごとの申請書の提出場所と申請書の種類

租税条約に関する届出書

「租税条約に関する届出書」3とは、非居住者や外国法人が日本法人と租税条約を適用させるために日本法人を通じて日本の税務署へ行う届出書のことをいい、 インドネシア法人が課税免除や軽減税率を要求するためにはこの「租税条約に関する届出書」を提出する必要があります。

適用させたい所得の種類によって届出書の形式が異なりますので、税務署もしくは税理士へ確認することお勧めします。

※3:「租税条約に関する届出書」はこちらからダウンロードが可能です。

参考:No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係)

提出期限と有効期限

提出期限は、支払い日の前日です。

届出が支払い前日までに間に合わなかった場合は、日本の国内法に基づく税率で一旦納税を行い、その後に「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書」4を提出することで減税額の差額を還付してもらうことが可能です。

租税条約適用の有効期限は、「租税条約に関する届出書」に記載する支払いの契約期間となります。契約期間以降も租税条約を適用させたい場合は、届出書の提出が再度必要です。

租税条約を適用させたいインドネシア法人は、日本法人を通じて日本の税務署に当該書類を提出しなければなりません。また、いくつもの日本法人から報酬を受取る場合は、それぞれの日本法人を通じて申請を行うことですべての報酬に対して課税免除や税率の軽減が可能となります。

例えば、日本法人のA社・B社・C社のうち、インドネシア法人がA社のみを通じて日本の税務署に「租税条約に関する届出書」を提出した場合、A社からの支払金額のみに租税条約が適用されます。つまり、インドネシア法人はA社からの報酬額のみ源泉税を免除され、B社とC社からの報酬額には20.42%の源泉税が課税されます。

※4:「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書」はこちらからダウンロードが可能です。

参考:No.2889 租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求

まとめ

租税条約により、二重課税の問題を回避し、企業の税負担を大幅に軽減することが可能となります。企業の利益を保護し、さらに拡大するためにも、この租税条約の理解を深め、適切に活用してください。

なお、支払いの種類によって、軽減税率や記入する書類の情報が異なりますので、慎重に手続きを進めることを推奨します。詳細については税務署や税理士へご相談ください。


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適用させたい所得によって租税条約に関する届出書の内容が異なりますか?

はい、適用させたい所得によって届出書の形式は異なります、どれを提出すべきか不明な場合は、お近くの税務署へご相談ください。

租税条約に関する届出書による租税条約の適用期間に有効期限はありますか?

租税条約に関する届出書による租税条約の有効期限は届出書に記入する適用期間となります。適用期間を2年として提出を行うと、2年間有効です。

取引先のインドネシア法人から租税条約を適用させたいと連絡がありました。どうしたらいいでしょうか?

日本法人側は、インドネシアの取引先へ料金を支払う前に租税条約に関する届出書を日本の税務署に提出しなければなりません。届出書にはインドネシア法人の会社情報等を記入する必要があるので先方と協力しながら手続きを行いましょう。


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