インドネシアの主要都市(ジャカルタ、スラバヤ、ブカシ、バンドゥン)の特徴
- 公開
- 2023/04/29
- 更新
- 2024/02/03
- この記事は約7分36秒で読めます。
大小さまざまな島から構成されるインドネシアは、島によって全く異なる文化や風習を持ちます。また、島だけでなく都市ごとにも特色があるため、たとえ「インドネシア」という一つの国であっても、それぞれの都市を一緒くたに捉えることはできません。
インドネシアでビジネスをするのであれば、それぞれの都市の特徴を踏まえた上で、自社の事業に合った場所を選ぶことが重要。そこで本記事では、インドネシアの主要都市(ジャカルタ、スラバヤ、ブカシ、バンドゥン)に注目し、各都市の特徴をまとめました。
人口や産業、賃金水準などの基本情報のほか、各主要都市に進出する有名日系企業の事例も紹介しているので、参考にしてみてください。
経済の中心地ジャワ島と首都ジャカルタ
インドネシアは13,000~18,000の島々から構成される島国で、インドネシア政府ですら正確な島の数は把握できていないとされています。数多くの島を有するインドネシアにおいて、特に大きいのはジャワ島、スマトラ島、カリマンタン島、スラウェシ島、パプア島などです。そしてこれらの島のなかでも、大都市が多く人口が集中するジャワ島が、インドネシア経済の中枢を担っています。
ジャワ島の都市に経済活動が集中
2022年4月、インドネシアの経済成長に関する記者会見において、Airlangga Hartarto(アイルランガ・ハルタルト)経済担当調整大臣は「インドネシアの2022年の経済成長率は約5.3%に達し、これはJoko Widodo(ジョコ・ウィドド)大統領の政権下(2014年以降)で最高である」と述べました。
豊富な天然資源や人口ボーナス期により、経済の順調な成長に期待がかかるインドネシア。しかし、GDPの56.5%をジャワ島が生み出しており、さらには経済活動がジャカルタを含む都市部に集中しているのが現状です。
高い経済成長率を誇る陰で、都市部とほかの地域との間には大きな経済格差が存在し、国としてもこれを解決すべき問題として捉えています。
参考:KEMENTERIAN KOORDINATOR BIDANG PEREKONOMIAN REPUBLIK INDONESIA「Pertumbuhan Ekonomi Tahun 2022 Capai 5,31%, Tertinggi Sejak 2014」
ジャカルタ一極集中問題と首都移転
中間所得層が増え、国が豊かになりつつあるイメージのインドネシアですが、Jabodetabek(※)などの都市部と農村部では経済規模に大きな差があります。
この課題に対して、インドネシア政府が打ち出した一つの対策が「カリマンタン島への首都移転」です。新首都予定地は東カリマンタン州のKabupaten Kutai Kartanegara(クタイカルタネガラ県)とKabupaten Penajam Paser Utara(北プナジャムパスル県)にまたがる場所で、新首都名は「Nusantara(ヌサンタラ)」とされています。
首都移転の背景には、ジャワ島の都市部に経済活動が集中していること、それゆえにジャカルタが過密状態であり、深刻な交通渋滞や大気汚染が起こっていることなどがあります。
インドネシアが抱える地域間の経済格差という問題を、首都移転により解決できるのか。2024年に移転開始とのことで、今後の動きに注目が集まります。
ジャカルタとその近郊を合わせた5つの都市(ジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシ)
インドネシアの主要都市と特徴
先述の通りインドネシアではジャワ島の都市部に経済が集中しており、インドネシアの総人口約2.8億人のうちジャワ島の人口は約1.4億人にものぼります。こちらでは、そんなジャワ島を代表する下記の4つの都市を紹介します。
- ジャカルタ
- スラバヤ
- ブカシ
- バンドゥン
インドネシアの主要都市の特徴とデータ
ジャカルタ
首都ジャカルタは、約1,000万人の人口を持つインドネシア最大の都市です。南ジャカルタ市、北ジャカルタ市、東ジャカルタ市、西ジャカルタ市、中央ジャカルタ市の5つに区分され、このうち東ジャカルタ市は国内の市としては最大の人口約300万人を有します。
「Jabodetabek」の人口は約3,000万人で、近年は高層ビルやショッピングモールの建設などの開発が急速に進んでいます。日系のスーパーや飲食店、アパレルショップなども多く、日本の物が比較的手に入りやすい都市です。
政治・経済の中心地として発展が進む一方、ジャカルタの渋滞は調査機関によっては世界ワーストランキング1位に選ばれるほど深刻なレベル。大気汚染やメイン通りから外れた場所に住む貧困層の存在など、華やかな都市の裏で問題が山積みになっている点も、首都ジャカルタの特徴でしょう。
スラバヤ
東ジャワ州の州都スラバヤ市は、国内第2位の人口約290万人を抱える大都市で、歴史的背景から華僑が多く生活しています。商工業が発達しているほか、インドネシアの貿易の中心地としても知られ、Tanjung Perak(タンジュンぺラック)港はインドネシア最大級。ジャカルタを含むジャワ島西部と比べると日系企業の数は少ないものの、味の素やユニ・チャームなどの有名日系企業も多く進出しています。
ブカシ
西ジャワ州ブカシはジャカルタの東側に位置し、ブカシ市とそれに隣接するブカシ県があります。2つを合わせると人口は約308万人で、ブカシ市中心部から中央ジャカルタまで車で約40分と近く、ベッドタウンとして生活の拠点を置いている方も少なくありません。日本食レストランや大規模なショッピングモールなどもあります。
また、丸紅がインドネシア政府による政策のもと開発した工業団地「MM2100」があり、ジャカルタから最も近い工業団地として2023年4月現在は179社が入居しています。
バンドゥン
西ジャワ州の州都バンドゥンは、標高が高く比較的涼しい都市として知られています。人口は約250万人で、ジャカルタからは車で約2.5時間。派手な観光地はありませんが、都市部から気軽に行ける避暑地として人気を集めています。バンドゥン工科大学やパジャジャラン大学などの有名大学があること、繊維業が発達しており服の製造・販売店が多いことなどもバンドゥンの特徴です。
各主要都市の産業
東南アジア有数の巨大都市ジャカルタは、金融や製造、ホテル・飲食、情報・通信など多岐にわたる産業で構成されています。ジャカルタに隣接するブカシは日系の製造業が集まる地域として知られ、製造業のほかにサービス業などが発展しています。
バンドゥンでは、情報・通信業が経済成長をけん引しています。そのほかホテル、飲食や卸売など多様な産業で構成される都市ですが、観光業はコロナ禍で大きなダメージを受けたことから、巻き返せるかどうかが今後の課題となっています。
スラバヤの産業も小売業や製造業、宿泊、飲食など多岐にわたりますが、大規模な港があることから運輸業の存在も見逃せません。
各主要都市の賃金水準
ジャカルタの最低賃金は1か月約4.3万円で、スラバヤが3.9万円、ブカシが4.5万円、バンドゥンが3.3万円です。
2010年におけるジャカルタの収入が月1万円だったことを考えると、この十数年間で大きな伸びを見せていることが分かります。また、例えばジョグジャカルタ市の1か月あたりの最低賃金は約2万円で、ジャカルタやブカシなどの大都市と比べると約2分の1。主要都市の間でも大きな差があります。
参考:ジェトロ「主要都市・県の2023年の最低賃金が大幅上昇(インドネシア)添付資料」
ジャワ島以外の主な都市
ここまでジャワ島の都市を主に紹介しましたが、ジャワ島以外の島にも経済活動が盛んな都市はあります。例えばスマトラ島の北部に位置するメダン(人口237万人)や、スラウェシ島南部に位置するマカッサル(人口153万人)などです。インフラ整備やエネルギーコスト上昇などの問題で日系企業の進出はまだ少ないものの、豊富な天然資源を持つこともあり、日系企業の進出が進むかどうか注目されるエリアです。
各主要都市へ進出している有名な日系企業
最後に、各主要都市に進出している日系企業を紹介します。
博多 一幸舎(ジャカルタなど)

画像出典・参考:Hakata Ikkousha Indonesia
博多 一幸舎は、本場博多のとんこつラーメンを取り扱うラーメン店チェーンで、 ジャカルタなどインドネシアの店舗においては豚肉を使わないメニューも提供しています。
イスラム教徒が総人口の約90%を占めるインドネシアでは、宗教上の理由で豚肉を食べられない方が多くなっています。そのため飲食店で料理を注文する際は、料理がハラールであるかどうか認証マークで確認することもしばしば。
インドネシアへ展開する日系企業にとって、ハラール認証制度は無視できない存在です。
味の素(スラバヤなど)

画像出典・参考:Ajinomoto
インドネシアのスーパーを訪れると、「マサコ」という名前の調味料を見かけることがあるかもしれません。これは味の素が販売する万能調味料で、マサコの売上はインドネシアにおける調味料市場の60%以上を占めています(2020年6月時点)。
この「マサコ」はインドネシア語のMasak(料理する)が由来で、ほかにも液体調味料「サオリ」やマヨネーズ「マユミ」など日本人の名前をイメージした調味料が人気です。
ユニークなネーミングや少量(0.9g)での販売など、地域に根差した戦略と挑戦でインドネシアでの地位を獲得した味の素。商品のよさだけでなく、海洋プラスチック問題が深刻なインドネシアにおいて「プラスチックごみ回収&リサイクル」の取り組みを開始するなど、社会貢献への取り組みも支持される理由かもしれません。
参考:Ajinomoto「インドネシア味の素社、伝統市場にて官民連携によるプラスチックごみ回収&リサイクルの取り組みスタート」
マンダム(ブカシなど)

画像出典・参考:Mandom Indonesia
インドネシアにおいて、知名度の高い日系企業の一つにマンダムが挙げられます。マンダムの工場は、首都ジャカルタから最も近い工業団地の「MM2100」にあります。
メンズコスメブランド「ギャツビー」が高い認知度を誇るほか、2023年3月期の報告ではレディースコスメブランド「PIXY」の売上高が増加。全体の売上高が前年比の30.7%増になるなど、男女両方から高い支持を受けています。
中間所得層の増加などを背景に、継続的な成長を続けるインドネシアの化粧品市場。 所得が増加する人が増え、おしゃれへの関心が高まるインドネシアにおいて、今後も注視したいところです。
トヨタ紡織(バンドゥン)

画像出典:PT. ATEJA KAWASHIMA AUTOTEX
トヨタ紡織といえば、乗用車用のシートを主力製品とし、そのほか内装・外装品など自動車に関連する部品を手がける会社。そんなトヨタ紡織と川島織物セルコン、豊田通商が設立した「PT. ATEJA KAWASHIMA AUTOTEX」が、バンドゥンで輸送機器用内装材の製造を行っています。
インドネシアの自動車市場は日系企業がほぼ独占しており、またトヨタ紡織では日本の自動車メーカーへの拡販を強みとして受注活動を強化しているところ。2021年には、インドネシアで拡販が見込まれる車のシート分野において量産を開始しました。日本車があふれるインドネシアにおいては、こういった車の部品や装飾品の製造を担う会社の存在も見逃せません。
参考:TBカワシマ株式会社
インドネシア進出を考えている企業様へ
インドネシアへの進出を考える上で、それぞれの島や州、さらに都市の特徴を理解することは非常に大切です。ただし、インドネシアは都市ごとに経済規模や生活環境の地域差が日本に比べて大きいため、外からでは「自社のビジネスにはどの都市が合っているのか分からない」と進出の高いハードルを感じるケースも少なくありません。
今すぐにインドネシアへ進出するのが難しい企業様に対して、弊社では「越境EC+Webマーケティング」という形で、インドネシアへの仮想進出をサポートしています。興味を持っていただけましたら、ぜひお気軽にご連絡ください
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インドネシアの主要な都市はどこですか?
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インドネシアの主要な都市はジャカルタ、スラバヤ、ブカシ、バンドゥンなどです。
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インドネシアは都市ごとに賃金水準が異なりますか?
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インドネシアは都市ごとに賃金水準が異なり、例えばジャカルタの最低賃金は1か月約4.3万円で、スラバヤが3.9万円、ブカシが4.5万円、バンドゥンが3.3万円です(2023年4月時点)。
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インドネシアの主要都市にはどのような日系企業が進出していますか?
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インドネシアの主要都市には博多 一幸舎や味の素、マンダム、トヨタ紡織などの日系企業が進出しています。
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