インドネシアへ輸出する際の輸送業者選び(クーリエとフォワーダー)
- 公開
- 2022/11/29
- 更新
- 2022/11/29
- この記事は約5分50秒で読めます。
一般的に、どんな目的であれ、海外へ何かを送る場合には、輸送業者に依頼します。
輸送業者は大きく分けて2種類あります。一つは「クーリエ」、もう一つは「フォワーダー」です。どちらも海外へ物を運ぶという点では同じですが、輸送手段や送れる荷物の大きさなどが異なるため、目的に応じて使い分けることになります。
以下では、それぞれの業務内容の違いや、日本からインドネシアへ物を輸出する場合の選び方などをご紹介します。
クーリエとフォワーダーの主な違い
まず、クーリエとフォワーダーの主な違いを簡単にまとめてみます。
クーリエ | フォワーダー | |
---|---|---|
輸送手段 | 主に航空便 | 色々な輸送手段を必要に応じて組み合わせる |
取扱品目 | 主に航空便で送れるもの | 危険物、動物、オーバーゲージも可能 |
対応エリア | 営業所がある地域 | 世界各地 |
対応可能な重量 | 70㎏くらいまで | 100㎏以上も可能 |
通関手続き | 簡易手続き | 一般的な通関手続き(輸出・輸入申請が必要) |
費用 | 軽い物は割安 | 重いものは割安 |
クーリエは集荷から納品までを一貫して自社で行います。一方のフォワーダーは、他社の物流システムを組み合わせて最適な輸送方法をアレンジ(プランニング)を担当します。
クーリエ(Courier)とは
クーリエのメリット・デメリット
メリット
- 配達完了までがスピーディー
- 軽い荷物は費用が抑えられる
デメリット
- 重い荷物は割高
- 送り先に指定できない地域もある
- トラブル発生時の個別対応が難しい場合もある
適した用途
- 数十キロまでの重さの荷物の輸送
- クーリエ営業エリア内への輸送
主な業者
- UPS、DHL、TNT、FedEx など
クーリエとは、いわゆる「国際宅配便」のことです。送り主の荷物を受取人まで届ける過程を1つの業者が請け負うため、Door to Doorと呼ばれます。輸送手段はほとんどが航空便ですが、業者によっては、「スピード航空便」「エコノミー航空便」「船便」などいくつかのオプションを用意しています。
クーリエは送り先となる海外における輸送も自社で行うため、対応地域はその業者の営業エリアに限られます。上記で例に挙げた4つのクーリエ業者はいずれもインドネシアへの貨物輸送が可能ですが、詳しい営業エリアについては個別にお問い合わせください。
申込みと手続き
多くの場合、各業者のWebサイトから見積もりや申し込みができます。
クーリエは社内に通関士を抱えており、通関手続きを代行してもらえるため、送り主はインボイスを作成する以外、通関について手を煩わされることはありません。
また、クーリエはそれぞれ独自の通関システムを持っており、簡易的な通関手続きで荷物を出国させられるため、フォワーダーを利用した場合に比べて1、2日速く納品できる可能性があります。そのため、緊急性があるものを送るのには適しています。
クーリエで送れないもの
一方、輸出入ライセンスが必要なものなど法律により制限があるものは、クーリエでは送れない場合があます。
クーリエで送れないものの例
- 食品、動植物(一部)、動物の毛皮など
- 刃物、毒物など航空便に積み込めないもの
- 現金、貴金属、たばこなど
- オーバーゲージ(規格外貨物)
※背が高い、幅が広いなど大きすぎて航空便で運べないもの
ビジネス目的でも、1回に送るものがさほど多くなく、上記のような特殊な荷物がなく、送り先がクーリエの営業エリア内の場合、クーリエの利用が視野に入ります。業者によってはビジネスプランが用意されていたり、常連になると優遇料金で利用できたりします。

クーリエとEMS(国際スピード郵便)の違い
クーリエのサービスに似たものにEMS(国際スピード郵便)があります。EMSは少量・軽量・安価なものを送る場合、手続きが簡単で料金が割安なので、個人で荷物を送る場合には向いています。
一方、荷物の大きさや重さ、品目の制限がクーリエよりも厳しくなっています。ビジネス目的でも場合によっては利用できますが、大量の荷物を送るのには向きません。
例えば送り先がインドネシアの場合、EMSで送れるものの大きさは以下のように決まっています。
- 最大の部分の長さ:1.5mまで
- 長さ+横周:3mまで
- 重さ:30㎏まで
クーリエとEMSの主な違いを簡単にまとめると、以下のようになります。
クーリエ | EMS | |
---|---|---|
業者 | 民間輸送業者 | 公的配送会社 ※日本の場合は日本郵便株式会社 |
貨物の種類 | 輸出品扱い | 国際郵便扱い |
通関手続き | 業者に任せられる | 内容物が20万円を超えると自分で輸出申請 |
対応品目 | やや広い | やや狭い |
対応重量 | 70㎏くらいまで | 20~30㎏まで |
輸送量 | 比較的重い荷物なら割安 | 比較的軽い荷物なら割安 |
輸送料の負担者 | 送り主と受取人のどちらか選べる | 原則送り主負担 |
関税の負担者 | 送り主と受取人のどちらか選べる | 原則受取人負担 |
EMSの場合、原則として関税は受取人が負担することになりますので、注意が必要です。
フォワーダー(Forwarder)とは
フォワーダーのメリット・デメリット
メリット
- 送り先や手段などを自由にアレンジできる
- 重い物でも比較的安価
- トラブル発生時にしっかり対応してくれる業者が多い
デメリット
- 少量・軽い荷物はクーリエに比べて割高
- 通関関係などの書類作成に手間がかかる
適した用途
- 大量または重量のあるものの輸送
- クーリエがカバーしていない地域への輸送
主な業者
- 日本通運、日立物流、近鉄エクスプレス、ジャパントラスト、郵船ロジスティクス など
フォワーダーとは、送り主の注文に合わせて納品までの最適な輸送ルートをプランニングする「国際輸送業者」で、国内から荷物を発送する業者と、海外で荷物を受取り販売する業者を繋ぐ役割を担います。
フォワーダーは、自らの輸送手段を持ちません。輸送方法の選択、貨物スペースの確保、通関手続き、納品などを一貫して請け負うのが仕事です。例えば輸送手段一つとっても、空路、海路、陸路から送り先や内容物に最適なものを組み合わせて提案します。
世界のどこへでも物を送ることができ、クーリエが取り扱わない輸出入に制限がある品目にも対応してもらえます。また、サポートが手厚く、「納期を早めたい」「納品先を変更したい」などのリクエストにも応えてもらえる場合があります。
以上のような理由から、商業貨物で100kg単位の重量貨物なら、フォワーダーが向いています。
申込みと手続き
クーリエと違い一般の通関手続きを行うこと、複数の輸送会社を利用する可能性があることで、送り主にとっては書類作成をする手間がかかります。ただし、書類作成も代行してくれる業者もあります。
フォワーダーの選び方
フォワーダー業者は非常にたくさんあり、どうやって選べばいいのか迷うかもしれません。ポイントとしては、例えば以下のような点が挙げられます。
現地法人(代理店)を持っているか/現地に日本語対応が可能なスタッフがいるか
一般的にフォワーダーはクーリエに比べてサポート体制がしっかりしていて、トラブルにも丁寧に対応してくれますが、送り先の国・地域に拠点を持っており、日本語を話せるスタッフがいるとより安心です。
例えば先ほどご紹介した主な業者5社の中で、日本通運、日立物流、近鉄エクスプレスの3社はインドネシアに事業所を持っています。
輸送したいものに対応しているか/どんな輸送手段に精通しているか
フォワーダーによって、空運に強い業者も、海運に強い業者もあります。また、「食品産業」「自動車産業」「医薬品産業」など、産業分野別にノウハウを持つ業者もあります。大きなものを輸送したい場合は、オーバーゲージの取扱い情報やその実績も確認することをお勧めします。
一般的に、重量のある商用貨物の場合はクーリエよりもフォワーダーの方が低コストで、サポート体制もしっかりしているためおすすめです。ただし、費用や使い勝手は輸送目的、輸送先、品目、重量、容積などによって異なります。
多数のフォワーダーから自社に合うパートナーを選ぶには、得意なエリア、輸送方法、内容物を確認するのがポイントです。繰り返し利用する場合は割引料金で対応してくれる業者もあります。初めての場合や、輸送するものの内容や量が変わる場合は、複数の業者に見積もりを依頼すると良いでしょう。
目的に応じて適した輸送業者選びを
ご紹介した通り、クーリエとフォワーダーには業務内容やシステムに違いがあります。顧客側に立てば、取扱い品目や大きさ・重さによるコストの差が特に大きな相違点であり、輸送業者選びのポイントです。
さらに、同じクーリエ、フォワーダーでも、得意分野が異なったり、サポート体制に差があったりします。最初のうちは、複数の業者で見積もりを取ったり、いくつかの業者を代わる代わる利用してみたりして、比較検討してみてください。
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