インドネシアの結婚式の特徴と日本との違い(ご祝儀、服装、マナーなど)
- 公開
- 2023/06/16
- 更新
- 2023/12/24
- この記事は約7分12秒で読めます。
インドネシアにある会社に就職した方や駐在員の方の中には、上司や同僚、部下にあたるインドネシア人から結婚式に招待される機会もあるかもしれません。
インドネシアの結婚式は宗教や地域ごとに特色があり、日本とは異なるルールもあります。なので、初めての参加では戸惑うこともあるでしょう。式にスムーズに参加するためにも、式の流れやご祝儀、服装などの基本情報を事前に押さえておくことをおすすめします。
本記事では、インドネシアの結婚式の特徴や日本との違い、覚えておきたいマナーなどをまとめました。また、結婚式でよく利用されるケータリングサービスや、結婚式を挙げるのにかかる費用などもまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
円表記は2023年6月11日のレート(1ルピア=0.0094円)で換算し、記載しています。
地域や宗教で違うインドネシアの結婚式
日本の結婚式は、新郎新婦が無宗教の場合、宗教や地域に縛られず好みによって結婚式のスタイルを選べます。例えば、キリスト教徒でない新郎新婦が、キリスト教式の結婚式を挙げることも少なくありません。また、地域によっては結婚式の伝統や風習なども存在しますが、それに従うかどうかは新郎新婦が自由に決められる場合が多いでしょう。
一方、インドネシア人は全員何らかの信仰を持っていることが多く、結婚式は宗教や住んでいる地域の影響を大きく受けるのが特徴です。例えば、バリ島に多いヒンドゥー教徒の結婚式には、新婦を自宅まで迎えに行ってから新郎の自宅で式を行います。さらには、式の最中に新婦が持ってきたバスケットを新郎が買い取るなどの伝統的な作法があります。
インドネシアでは異教徒との結婚が難しいため、結婚式の様式は新郎新婦の宗教と出身地の伝統に従うことがほとんどです。インドネシアの結婚式に参加する場合は、宗教や地域によって式のスタイルが変わるということを、まず頭に入れておきましょう。
参考:tokopedia「Susunan Acara, Ritual, dan Prosesi Pernikahan Adat Bali」
例えば、以下の3枚の写真はいずれもジャカルタにある同じ結婚式場で行われた結婚式・披露宴の様子です。衣装だけを見ても色々なスタイルがあることがわかります。



画像出典:ikkwedding.id
インドネシアの結婚式の特徴と日本との違い
インドネシアの結婚式は宗教や地域ごとに特色がありますが、その中でも今回は「ジャカルタに住むイスラム教徒の結婚式」について説明します。ここでは特に注目すべき4つの違いについてまとめました。
契約の儀式
日本では結婚式の前や後に婚姻届を提出し、式とは別で書類上の結婚を済ませます。一方、インドネシアでは結婚式の場で書類上の結婚を済ませます。宗教指導者のもと契約書を作成し、式の最中にサインをします。
この契約の儀式は「akad nikah(アカド・二カー)」 と呼ばれ、この儀式をもって新郎新婦は正式に結婚したと認められます。日本では結婚式を挙げない夫婦も珍しくありませんが、インドネシアのイスラム教徒は結婚式の場で正式な契約を結ぶことから、式を挙げるのは必須です。
アカド・二カーは結婚披露宴前に行われ、身内など近しい関係の人のみ集められることがほとんど。職場の上司や同僚、部下という関係性だとアカド・二カー後の披露宴から呼ばれることが多いですが、式の流れとして覚えておくとよいでしょう。
招待客
日本の結婚式では、職場で関係のある人や近しい友人など、ある程度招待客を厳選するのが一般的です。参列者を呼びすぎるとお金がかかる、招待客の管理をするのが大変などの理由から、誰でも気軽に招待できるわけではありません。
それに対してインドネシアの結婚式には、とにかく多くの人が参加します。近所の人や遠い親戚など、日本と比べると関係性が薄い人でも気軽に出席でき、一般人での式でも参加者が1,000人を超えるケースもあります。
なお、インドネシアではパートナーと一緒に出席するのは普通のこと。新郎新婦の中には、大勢の人が訪れたり、ゲストに外国人がいたりすると鼻が高いと感じる人もいるようなので、パートナーもぜひ誘って参加してみてください。
出入り自由
インドネシアの結婚式は、開始から終了まで基本的に出入り自由です。新郎新婦との写真撮影が主なイベントで、これを済ませたら食事をして帰る人もいます。
日本の結婚式は開始時刻と終了時刻があらかじめ知らされているケースが多いのに対して、インドネシアはスケジュールがあってないようなもの。式が長時間にわたることも多いので、最初から最後まで出席する必要はありません。
お酒・食事
イスラム教徒の多いインドネシアでは、イスラム教徒が主催しているかどうかに関わらず、パブリックな場ではお酒は出ないのが一般的です。
また、食事はビュッフェ形式が多く、新郎新婦の身内が料理を作ることもありますが、最近はホテルや式場のウェディングパッケージやケータリングサービスを利用するケースもよく見られます。インドネシア料理の立食パーティーなら、多くの場合は大皿を1枚取り、ご飯とおかずをすべて同じ皿に盛り付け、空いている場所に移動して食べます。
インドネシアの結婚式で気をつけたいマナー
実際にインドネシアの結婚式に参加することになったら、どのような点に気をつけるべきなのか。ここでは、インドネシアの結婚式で気をつけたいマナーを紹介します。
ご祝儀
日本の結婚式のご祝儀は30,000円が相場で、あとは新郎新婦との間柄によって決まります。ご祝儀の金額相場が常識としてある程度明確に決まっている日本の結婚式に対して、相場がはっきりと決まっていないのがインドネシアの結婚式です。
100,000~500,000ルピア(940~4,680 円)がおおよその目安ですが、新郎新婦との関係性やお祝いの気持ちなどを考慮して自由に決めて問題ありません。
また、インドネシアにはご祝儀袋がないため、あらかじめ自分で封筒を用意しておく必要があります。披露宴会場の受付で会社名や名前を記入した後は、受付に置かれた箱にご祝儀を入れるだけ。ご祝儀の封筒には、名前を書いても書かなくても問題ありません。
服装
主催者側から何も指定がなければ、男性の場合はバティックシャツ、女性の場合はケバヤ(クバヤ)を着ておけば間違いないでしょう。バティックシャツとケバヤはインドネシアの伝統衣装で、結婚式以外の場でも正装として着られるので、一着持っておくのがおすすめです。
ただ、インドネシアの結婚式には明確なドレスコードが存在せず、ネクタイやジャケットが不要、白い服で訪れてもよいなど、日本の結婚式のようなマナーをゲスト側が求められることはありません。
カジュアルすぎる格好でなければ会場で浮くことはないので、バティックやケバヤを用意できない方は、フォーマルなシャツやワンピースなどでも参加できます。


画像出典:INSPIRASI KEBAYA Instagram @fashion_kebaya.ku
インドネシアの結婚式でよく使われるケータリング会社
新郎新婦の身内が料理を作るケースも見られますが、見た目がおしゃれで本格的な味を楽しめるケータリングサービスを利用するケースも珍しくありません。
そこでここでは、インドネシアの結婚式でよく使われるケータリングサービスを3つまとめました。
Al’s Catering(アルズ・ケータリング)
Al’s Catering は、ジャカルタとバリで展開しているモダンで洗練された雰囲気が特徴のケータリング会社です。結婚式のほか、取締役会のような堅い場面、ファッションショーのような華やかな場面など、幅広いシーンに対応したメニューを考案しています。
また、弁当やアラカルトメニューは、インドネシアの大手ECプラットフォームTokopediaでも販売しています。イベントのような非日常の場面だけでなく、日常生活でも気軽に利用できる商品が魅力です。
結婚式向けケータリングサービスでは、インドネシア、ウエスタン、オリエンタル、日本、韓国の5つのメニューがあり、自宅や結婚場への配送を行っています。
Medina Catering(メディナ・ケータリング)
Medina Cateringは2010年に設立された会社で、一般向けと企業向けのどちらにもケータリングサービスを提供しています。結婚式や誕生日、企業イベント、弁当など多様なシーンに合わせたメニューがあり、厳選された原材料やプロによる高いサービスが売りです。
また、同社はジャカルタに多数の提携式場を持っており、ケータリングのみはもちろん、食事や会場のデコレーション、司会者、音響などオールインワンのパッケージも用意しています。参考までに、50人パッケージの費用は11,999,000ルピア(112,340円)+フリーデリバリーの料金です。
なお、メニューはインドネシア料理、そのほかのアジア料理、洋食から選ぶことができます。
Alfabet Catering(アルファベット・ケータリング)
Alfabet Cateringは、1996年に創業したケータリングサービスの老舗企業。結婚式や婚約式、誕生日、企業イベント、弁当などを手がけており、インドネシアのケータリング業界で最大手のパイオニアとも言える企業です。
インドネシア料理を中心に軽食やスナックのボックス、ビュッフェなど多様なメニューを提供しており、ナシ(ご飯)のメニューだけでもナシ・ラワン(牛肉スープとご飯)やナシ・バリ(バリ島の伝統的なご飯 とおかずの盛り合わせ)、ナシ・マドゥラ(マドゥラ地方の伝統的なご飯)など、とにかく種類豊富です。
結婚式向けのケータリングサービスは、インドネシア料理のビュッフェ。政府や軍の要人が出席する結婚式にもケータリングを提供しており、質の高さに定評があります。
インドネシアで結婚式を挙げるのにかかる費用
それでは最後に、インドネシアで結婚式を挙げるのにかかる費用を紹介します。
インドネシアの金融企業BFI Financeの調査をもとに、インドネシアの結婚式にかかる費用とその項目を以下にまとめました。以下は多目的集会場や学校のホールを結婚式会場として利用した場合、ケータリングサービスを300人分用意した場合を想定しています。
ただし、下記はあくまで参考で、費用は会場の規模や新郎新婦の衣装へのこだわりなどによって変わることに留意してください。
- KUA(※)での結婚登記手続:600,000ルピア(5,620円)
- 結納金:1,000,000ルピア(9,360円)
- 結婚指輪:5,000,000ルピア(46,810円)
- 新郎から新婦への贈り物:3,000,000ルピア(28,090円)
- 結婚式場の用意と装飾:8,000,000ルピア(74,900円)
- ケータリングサービス:12,000,000ルピア(112,350円)
- 衣装とメイク:3,500,000ルピア(32,770円)
- 写真撮影:3,000,000ルピア(28,090円)
- 招待状と記念品:2,000,000ルピア(18,730円)
- バンド演奏などエンターテイメント:4,000,000ルピア(37,450円)
- その他:2,000,000ルピア(18,730円)
合計:44,100,000ルピア(412,880円)
※KUA(Kantor Urusan Agama):改宗や結婚の儀式などを行うイスラム宗教事務所
参考:BFI FINANCE「Serba-Serbi Biaya Pernikahan Sederhana yang Perlu Disiapkan」
異文化を感じられるインドネシアの結婚式の面白さ
日本とインドネシアの結婚式は、式のスタイル、出席者のマナーや人数、ご祝儀などに違いがあるため、初めて訪れる方は少し戸惑うかもしれません。しかし、日本にはない宗教感や地域性を見ることができ、異文化を感じられる面白さもあります。
それに、インドネシアの結婚式には大勢の人々が集まるため、そこで思いがけない交流や仕事の出会いが生まれる可能性もゼロではありません。もしも上司や同僚、部下などからインドネシアの結婚式に招待されたら、あまり身構えず、お祝いの気持ちを伝えにいくくらいの気持ちで参加してみてください。
インドネシアの冠婚葬祭や日々の習慣に興味をお持ちの企業様へ
本記事でも取り上げた通り、インドネシア人はイスラム教を始めそれぞれの信仰に沿った生活をしています。また、多民族国家であるインドネシアでは、宗教とは別にそれぞれの地域や民族が受け継いできた文化もあり、さらに地域によってインフラの整備状況や住民の平均的な所得にも大きな違いがあるため、「インドネシアではこう」と言い切れないことがほとんどです。
弊社ではインドネシアへの進出を考えている企業様のご要望を受け、オンライン市場調査サービスを行っています。11万人のインドネシア人パネルから性別、年齢、信仰、居住地などを限定して回答者を募集することで、効率よく「現地の声」を聞くことができます。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
Warning: Undefined variable $post_img_url in /home/mizy/www/flow-t.net/kakemochi_dev/wp/wp-content/themes/kakemochi20250206/blocks/block-relate.php on line 11
インドネシアの市場調査をするにあたり、100万円以上かけて分厚いレポートを手に入れるのではなく、もっと効率・効果的にリサーチを行うことをご提案しています。
Warning: Undefined variable $add in /home/mizy/www/flow-t.net/kakemochi_dev/wp/wp-content/themes/kakemochi20250206/single-interview.php on line 198
-
インドネシアと日本の結婚式にはどのような違いがありますか?
-
インドネシアの結婚式は、式の最中に結婚の契約を済ませること、招待客が多いこと、会場へ出入り自由なこと、お酒が出ないことなどが日本との違いとして挙げられます。
-
インドネシアの結婚式でよく利用されるケータリングサービスを教えてください
-
インドネシアの結婚式でよく利用されるケータリングサービスには、 Al’s CateringやMedina Catering、Alfabet Cateringなどがあります。
-
インドネシアで結婚式を挙げるのにどのくらいの費用がかかりますか?
-
規模や式へのこだわりにもよりますが、インドネシアの金融企業BFI Financeによると日本円で41万円ほどかかるという調査結果が出ています。
Warning: Trying to access array offset on null in /home/mizy/www/flow-t.net/kakemochi_dev/wp/wp-content/themes/kakemochi20250206/functions.php on line 860
読後のお願い
弊社で公開している記事の1つ1つは、日本人とインドネシア人のライター、日本人とインドネシア人の編集者がそれぞれ協力しながら丁寧に1記事ずつ公開しています。
記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。
そこで、弊社からの不躾なお願いになってしまうのですが、是非SNSでこちらの記事をご紹介いただけないでしょうか。一言コメントを添えてシェアしていただけると本当に嬉しいです。そうやってご紹介いただくことで関係者全員の励みにもなりますので、どうか応援宜しくお願いします!
-
Warning: Undefined variable $facebook_count in /home/mizy/www/flow-t.net/kakemochi_dev/wp/wp-content/themes/kakemochi20250206/sns.php on line 17
-
-
-
-
-
-
SNSでも積極的に情報発信をしています
Warning: Undefined array key "paged" in /home/mizy/www/flow-t.net/kakemochi_dev/wp/wp-content/themes/kakemochi20250206/related.php on line 3
おすすめのインタビュー記事
-
インドネシア全土の病院と提携。異国でゼロから事業の立ち上げに成功したSMSIDの軌跡
医療を通じたプロモーション支援を専門とするメディカル広告会社PT. Senior Marketing System Indonesia様へのインタビューです。
-
グリコはどのようにインドネシアのお菓子市場でマーケティングを実践してきたのか
インドネシアのお菓子市場についてグリコのマーケティング担当者にインタビューを行いました。インドネシア人のお菓子に対する嗜好性やトレンドなどをお伺いしています。
インドネシア人見込み客をWebから集客するには経験とノウハウが必要です。
弊社では豊富な集客実績があるためまずは一度ご相談ください。
-
WEBからお問い合わせ
ご相談はいつでも無料24時間受付(2営業日以内に返信いたします)
-
すぐにでも日程調整を行いたい
日程調整フォームへ代表の柳沢が説明いたします。
カケモチのサービスについて
詳しく紹介しているページ
Warning: Undefined array key "login_begin" in /home/mizy/www/flow-t.net/kakemochi_dev/wp/wp-content/themes/kakemochi20250206/footer.php on line 51
Warning: Undefined array key "a" in /home/mizy/www/flow-t.net/kakemochi_dev/wp/wp-content/themes/kakemochi20250206/footer.php on line 56