インドネシアのeスポーツ事情と人気のゲーム・大会・チームや選手の紹介
- 公開
- 2023/08/26
- 更新
- 2023/12/26
- この記事は約7分26秒で読めます。
日本でもeスポーツの存在感は少しずつ高まっていますが、それでもまだ大衆に広まっているとは言えません。eスポーツゲームに精通する人々の間で盛り上がっているイメージがあり、一般の人々の生活に馴染むにはもう少し時間がかかりそうです。
一方、インドネシアは日本と比べてeスポーツの注目度が高く、政府が運営に関わる大統領杯も開催されています。政府が積極的にeスポーツ分野の成長をサポートしていることもあり、eスポーツに対する国民の意識は日本とは違ったものだといえるでしょう。
そこで本記事では、インドネシアのeスポーツの市場規模や人気の理由を考察しました。また、人気のeスポーツゲームや選手、過去にインドネシアで開催された大会なども紹介しているので、最後までご覧ください。
円表記は2023年8月10日のレート(1ルピア=0.0095円、1米ドル=144円)で換算したものです。
インドネシアのeスポーツの市場規模
統計調査プラットフォームstatistaのデータによると、インドネシアのeスポーツ売り上げは2018年時点で417万ドル(5億9,120万円)でしたが、2022年には836万ドル(12億550万円)にまで増加しています。
eスポーツ人気はこのまま上昇し続け、2027年には売り上げ1,329万ドル(19億1,640億円)、ユーザー数1,800万人の巨大市場になる予想です。
インドネシアはまだ人口が増加している最中で、若者の人口比率が高い状態が続くと予測されていることから、若いゲーマーが増えてeスポーツ市場が盛り上がる可能性に期待している企業も少なくありません。
例えば世界最大のeスポーツ運営会社のVSPNは、「インドネシアをビジネス拡大の優先国として考えている」と述べています。
参考:statista「Esports – Indonesia」
参考:statista「Revenue of the esports industry in Indonesia 2018-2027」
参考:NIKKEI Asia「Esports organizer VSPN eyes growth in Indonesia, Vietnam, Malaysia」
インドネシアでeスポーツが人気の理由
インドネシアでなぜeスポーツ市場が拡大しているのか。理由はいくつか考えられますが、そのなかでも特に主要な3つの背景について考察します。
アジア競技大会でのeスポーツ採用
2018年8月、インドネシアでスポーツの祭典「アジア競技大会」が開催されました。このアジア競技大会でeスポーツがデモンストレーション競技として採用されたのが、インドネシアのeスポーツブームのきっかけの1つです。
それまでインドネシアでeスポーツはあまり広まっておらず、また「ゲームはスポーツではない」という批判的な声もありました。
しかし、アジア競技大会で選手たちの高い動体視力や反射神経、チームワーク、精神力などを目の当たりにしたことでeスポーツに対する印象が変わり、そこから興味を持つ人が増えたという見方があります。
スマホゲームの市場拡大
インドネシアではスマホゲーム市場が拡大しており、2022年のスマホゲームのダウンロード数は2021年から3億件以上増加して34億5,000万件に達しました。
スマホゲームに興味がある人の中にはeスポーツに興味を持つ人も一定数おり、スマホゲームの市場が拡大するのと同時に、eスポーツ人口も増えていると考えられます。
参考:VIVA.co.id「Indonesia Becomes the Third Largest Mobile Game Market in the World」
政府の強い支援
インドネシア政府は2014年に「Indonesia Esports Association (インドネシアイースポーツ協会、通称IESPA)」を設立し、eスポーツ分野の活動を国として支援しています。このIESPA は、国内の大規模なeスポーツチームを取りまとめる役割を担っており、国際的なeスポーツ大会への出場を管理・サポートしています。
また、2019年には「Piala Presiden Esports 2019(イースポーツ大統領杯2019)」が初開催され、インドネシア政府が関わる大統領杯ということもあり大きな注目を集めました。
インドネシア政府がeスポーツ分野を支援するのは、eスポーツが今後インドネシアの経済発展に大きく寄与すると考えているためです。
以上のような政府の取り組みにより国民がeスポーツに触れる機会が自然と増えたことが、結果としてeスポーツへの関心の高まりに繋がっているといえます。
インドネシアで人気のeスポーツゲーム
次に、インドネシアで人気のeスポーツゲームを3つ紹介します。
Mobile Legends(モバイル・レジェンズ)

全世界で10億ダウンロードを突破したMobile Legendsは、インドネシアで特にファンが多いeスポーツゲームです。
インドネシアでeスポーツの情報を発信するRevival TVのCEO、Ahmad Syahnd(アフマド・シャーンディ)氏は、インドネシアのスマホゲームユーザーのうち50%以上がMobile Legendsのユーザーだと過去に述べています。
実際にインドネシアのeスポーツチームはMobile Legendsの多くのトーナメントで優勝しており、世界でも大きな存在感を見せています。
Mobile Legends は、2つのチームに分かれて敵の拠点を破壊しに行くゲームです。操作が簡単、キャラクターが魅力的、国別対抗戦ができるなど、初心者から上級者まで楽しめる点が人気を集めています。
参考:Voice of Indonesia「Mobile Legends Jadi Gim Seluler dengan Pengggemar Terbanyak di Indonesia」
PUBG Mobile(ピーユービージー・モバイル)

PUBG Mobileは、100人のプレイヤーが最後の1人になるまで無人島で戦うバトルロイヤル方式のシューティングゲームです。物資を集めて最後まで生き残るだけのシンプルなルールで、老若男女幅広い層から人気を集めています。
Mobile Legendsと同様にPUBG Mobileもインドネシアのeスポーツチームが強く、例えば2017年に設立されたBigetron Red Villains(ビゲトロン・レッド・ヴィランズ) は、国際大会で何度も優勝経験があります。
同じランクの相手と戦うため初心者でも安心、仲間と協力しながら遊べる、個性的な武器や装備が充実しているなどの理由で人気を集め、全世界で10億ダウンロードを突破しました。
参考:PUBG Mobile
Free Fire(フリー・ファイア)

大統領杯の競技にも選ばれたことがあるFree Fireは、プレイヤー同士が撃ち合いをしながら生き残りを目指すeスポーツゲームです。
2022年に東南アジアで2番目に売れたモバイルゲームで、東南アジアにおけるユーザーの総支出額は790万ドル(11億3,916万円)でした。なお、そのうちの42.1%がタイ、32.2%がインドネシア、15.7%がマレーシアだとされています。
Free Fireは一般的なシューティングゲームと違い、銃の照準が自動で相手に合うため初心者でも操作しやすいのが特徴です。また、展開が早く進むため、短時間で決着をつけたいプレイヤーからも人気を集めています。
参考:Free Fire
インドネシアで開催されたeスポーツの大会
インドネシアでは過去に大きなeスポーツの大会がいくつか開催されていますが、ここでは特に話題を呼んだ2つの大会を紹介します。
IeSF World Esports Championship 2022(アイイーエスエフ・ワールド・イースポーツ・チャンピオンシップ2022)
IeSF World Esports Championshipは2009年から続くeスポーツの世界大会で、2022年はバリ島で開催されました。106の国と地域が参加し、総額約500,000ドル(7,200万円)の賞金が用意されました。
本大会で競技として行われたゲームは、 Counter-Strike: Global Offensive(アクションゲーム)、DOTA 2(バトルゲーム)、eFootball™ 2023(サッカーゲーム)、Mobile Legends(アクションゲーム)、PUBG MOBILE(バトルゲーム)、Tekken7(格闘アクションゲーム)です。
大会期間中はバリ島のリゾートホテルMerusaka Nusa Duaに選手たちが集合。敷地内に設けられた4つのステージで世界一を目指して競い争いました。
インドネシアのeスポーツチームはDOTA 2、eFootball™ 2023、Mobile Legendsの3タイトルで優勝し、自国開催ということもあり大きな盛り上がりを見せました。
Piala Presiden Esports 2023 (イースポーツ大統領杯2023)
2019年から続くPiala Presiden Esportsはインドネシアの関係省庁が携わる国際大会で、毎年開催されています。
2023年度は7月18日から約2週間にわたり、地域予選やクローズド予選、オープン予選などそれぞれのトーナメントが実施。賞金総額は20億ルピア(1,900万円)で、インドネシア各地から5万人以上のプレイヤーが参加しました。
今年度の予選ゲームには、Mobile Legendsとインドネシアで誕生したマルチプレイヤーオンラインバトルアリーナゲームのLOKAPALA が選ばれ、各部門のファイナリストは10月にジャカルタで開催されるグランドファイナルに出場することになっています。
参考:PIALA PRESIDEN ESPORTS 2023
参考:detiksport「Piala Presiden Esports 2023: Momen Munculnya Atlet Top」
インドネシアのeスポーツチーム・選手
それでは最後に、インドネシアで有名なeスポーツチーム・選手を紹介します。
REX REGUM QEON(レックス・レグム・クオン)
REX REGUM QEONは2013年10月に設立されたeスポーツ団体で、Mobile LegendsやPUBG、Free Fireなどの部門を有しています。
同チームはインドネシア人とフィリピン人のプレイヤーで構成されていることから、当初は国の異なる選手同士のコミュニケーションを不安視する声が多く上がっていました。
しかし、2022年にはMobile LegendsとFree Fireで世界7位の高い成績を残し、またYouTubeチャンネルの登録者数が350万人超えるなど、今では多くの人から注目される国内トップクラスのチームになっています。
代表選手には、国際大会の「Champions 2022」で大きな活躍を見せたxffero選手のほか、Emman選手やLmemore選手などがいます。
EVOS Esports(エボス・イースポーツ)
2016年に設立されたEVOS Esportsはジャカルタに拠点を置くチームで、Mobile LegendsやPUBG、Free Fire、Arena of Valorなどのゲームで活躍しています。
インドネシアだけでなく、シンガポールやタイ、マレーシア、フィリピンを拠点にしたチームを持ち、東南アジアを中心にさまざまな大会へ出場し実績を残しています。
例えば2019年にマレーシアで開催された「Mobile Legends M1 World Championship」では世界タイトルを獲得し、2022年にバリ島で開催された「IeSF World Esports Championship 2022」ではMobile Legends部門で優勝しました。
盾を持ったホワイトタイガーのキャラクターは「諦めないこと」を表現しており、インドネシアの多くのeスポーツファンから応援されています。
参考1:Voice of Indonesia「Profil Evos eSport yang Dua Kali Harumkan Nama Indonesia」
参考2:EVOS Esports
BOOM Esports(ブーム・イースポーツ)
2016年11月に設立されたBOOM Esportsは、東南アジアのトッププレイヤーが集まる多国籍チームです。
DOTA 2とPUBG Mobile、VALORANTの3つのゲームに強く、不利な状況でも果敢に攻めるfl1pzjder選手やアグレッシブな動きに定評があるBerser選手など、それぞれの選手の強みを活かした高いチームワーク力に定評があります。
チームメンバーを固定しておらず、試合直前まで誰が出てくるのか分からないサプライズ感がファンを楽しませています。
参考:BOOM Esports
インドネシアのeスポーツ市場の将来性
若者人口が多いインドネシアでは、デジタルに強く、オンラインゲームに親しむ若者たちの存在が目立ってくることが予想されます。
特に政府が国として力を入れていること、世界大会で優勝するようなチームも多いことから、インドネシアのeスポーツ市場は今後さらに盛り上がっていくでしょう。
インドネシアでのビジネスに挑戦したい企業様は、eスポーツやゲームなどの市場拡大に期待がかかる分野に注目してみてはいかがでしょうか。
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インドネシアで人気のeスポーツゲームは何ですか?
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インドネシアではさまざまなeスポーツゲームが人気を集めていますが、Mobile Legends、 PUBG Mobile、Free Fireの3つが特に人気です。
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インドネシアで過去に開催されたeスポーツの大会を教えてください。
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インドネシアで過去に開催された大会にはIeSF World Esports Championship 2022やPiala Presiden Esports 2023があり、インドネシアのeスポーツチームは国際大会でも高い成績を残しています。
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インドネシアで有名なeスポーツチームを教えてください。
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インドネシアの代表的なeスポーツチームには、REX REGUM QEONやEVOS Esports、BOOM Esportsなどがあります。
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記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。
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