インドネシアのEC市場と人気のECモールやASPの紹介
- 公開
- 2022/07/18
- 更新
- 2024/02/06
- この記事は約7分57秒で読めます。
越境ECと言えば、中国や韓国などの市場を真っ先に思い浮かべる方も少なくありませんが、インドネシアは東南アジアでは最も魅力的な市場の一つです。
単純に市場規模を比較すれば、タイやベトナムを上回って最大となっており、今後もますます拡大していくであろうことが様々な調査結果で裏付けられています。
このように魅力的な市場に対して進出するにあたり、まずインドネシアのインターネットの利用率やEC市場の推移がどうなっているのか、どういったECモールやASPがマーケットシェアを握っているのかを知ることは、越境ECをスタートさせる上で大変重要と言えます。
インドネシアのEC利用状況
インドネシアのインターネット利用率

出典:databoks「Pengguna Internet di Indonesia Tembus 213 Juta Orang hingga Awal 2023」
インドネシアにおけるインターネットの利用者数は、急激に伸びています。2023年現在、利用者数は2億1,000万人を超え、ネット利用率は77%になっています。総務省のデータによると、日本のインターネット利用率は84.9%。つまり、インドネシアのインターネット利用率は、日本のそれに限りなく近くなっているのです。
インドネシアも日本と同じで、端末別のインターネット利用率は、スマートフォンがパソコンを上回っています。iPhoneは日本ほど普及していませんが、代わりに中国製の安価な携帯電話があるおかげだと考えられます。
ジャカルタ市内を歩いていると、スマートフォンで通話やチャットをしたり、動画を視聴したりしている人をよく見かけます。
インドネシアのEC市場規模の推移

出典:Data Indonesia.id「Transaksi e-Commerce RI Tak Capai Target pada 2022」
表からもわかる通り、インドネシア国内EC市場規模は急成長しています。この急成長の理由は、おそらくコロナ禍でしょう。
2020年の新型コロナ流行以降、インドネシアでは感染拡大防止のため、大規模社会制限(PSBB)が実施され、出社制限や営業時間制限が続きました。これによって人々の在宅時間が多くなり、EC取引が急増したものと考えられます。
インドネシアのECモール

Shopee | Tokopedia | Lazada | Bukalapak | TikTok Shop | Blibli | |
流通取引総額 | 280兆ルピア | 278兆ルピア | 75兆ルピア | 75兆ルピア | 40兆ルピア | 30兆ルピア |
インドネシアのEC市場においては多数のECモールが激しい競争を繰り広げていますが、現在は上記のモールに集約されつつあります。なかでもShopeeとTokopediaは頭一つ抜けており、日本で言うところのAmazonや楽天のようなイメージを持っていただくと分かりやすいかと思います。
Shopee(ショッピー)
もともとは東南アジア全域をターゲットにしている大手EC企業でしたが、現地ショッピングモールにおける派手なプロモーション戦略や各種の割引きイベントを実施して、ここ数年でインドネシアにおけるシェアを飛躍的に伸ばしてきました。
1つのアカウントで生活が便利に
Shopeeは独自の電子マネー「Shopee Pay」やフードデリバリーサービス「Shopee Food」を有し、一度登録すれば、通信販売以外の色々なことにShopeeを活用できるというメリットがあります。
安い手数料で利用可能
販売手数料は売上総額の3%、決済手数料は売上総額の2%で他のECモールと比べると比較的安価なため、リスクを抑えて出店することが可能です。
Tokopedia(トコペディア)
Tokopediaは2009年に設立された後、2014年にソフトバンクグループから融資を受け、2018年にはアリババ(Alibaba)からも出資を受けたインドネシアを代表する大手EC企業です。
店舗数が膨大
Tokopediaには多くの中小・個人事業者が出店しており、登録されている店の数は2022年現在1200万店となっています。日用品や電子機器、食品など、小さなものから大きなものまで何でも揃います。
ファイナンス機能・チケット予約機能
Tokopediaから、保険や投資信託などに申し込むことができます。また、飛行機のチケット購入や、ホテル、映画の予約などを直接できるのも便利です。
Lazada(ラザダ)
Lazadaは2012年に設立され、2016年アリババ(Alibaba)の傘下に入った企業です。シンガポールを拠点としてマレーシア、フィリピンなどに進出しているEC企業です。
越境ECに強い
在庫をインドネシアに置かず日本から発送しても1〜2週間で商品が届きます。また、サポートも手厚く、分からないことがあれば日本語でLazadaの担当者がサポートしてくれます。
複数国にEC展開が可能
一度の商品登録で東南アジア6カ国に出品でき、英語で説明欄や紹介文を書くと自動的に他言語に翻訳してくれます。通貨表示も当地のものに合わせてもらえるため、効率良くEC展開ができます。
Bukalapak(ブカラパック)
Bukalapakは2010年に設立された後、2018年にTokopediaと同様にアリババ(Alibaba)から支援を受けた大手EC企業です。ShopeeとTokopediaの後塵を拝してはいるものの、インドネシアでは知名度が高い大手EC企業の一つです。
ユニークな品揃え
衣料品や食品など一般的なものも販売していますが、バイクや車などのユニークな商品が販売されているのが特徴です。投資や借入などもでき、インドネシアでは一般的な「金積立」も手軽にできます。
光熱費の支払いやローンなどの支払いも
Bukalapakを使うことによって、光熱費やローンなどの支払いが24時間可能です。OVO、DANAなど大手の電子マネーと提携しているので、ユーザーが普段使っているものをそのまま利用できるのもポイントです。
TikTok Shop(ティックトック・ショップ)
TikTok Shopはインドネシアでの運営を一時的に停止しましたが、Tokopediaの株式の75%を取得する形でインドネシアのEC市場に戻ってきました。インドネシアでは今TikTokの人気が高まっており、ショッピングを目的とする人だけでなく、SNSとしてTikTokを使っている人へもリーチできる点が強みです。
Blibli(ビリビリ)
2011年に設立されたBlibliでは、ショッピングのほかに公共交通料金の支払いなどができます。旅行に特化した商品を販売するサービス「Blibli Travel」も手がけており、オンライン上でホテルや交通機関のチケットを予約することも可能です。
インドネシアのASP
最近日本でも知名度が上がってきているShopifyやBASEのようなサービスは、インドネシアにもあります。ただし、現状ではECモールでの販売やSNSでの直接販売と比較すると、ASPを活用したEC販売はまだまだの状況です。
Shopify | zyro | webflow | |
金額 | 月額Rp400.000 (=約4,000円) | 月額Rp39.000 (=約390円) | 月額USD29 (=約3,900円) |
扱いやすさ | ◎ | △ | ◯ |
デザイン | ◎ | △ | △ |
Shopify
日本でも人気のShopifyですが、その使い勝手の良さからインドネシアでも人気のASPの一つです。モバイル端末対応でカスタマイズしやすい豊富なデザインテンプレートがあることも魅力。FacebookやInstagramとの同期も可能です。
Zyro
一番特徴的なのは料金で、月額390円で利用可能です。また、Zyroを利用することで、Facebook、Instagram、Amazonにも店を開くことができます。ただし、Webサイトが日本語非対応なため、英語またはインドネシア語が堪能でないと利用が難しいのが難点です。
Webflow
多くの種類からテンプレートを選べるのはもちろん、他のノーコードツールとの豊富な外部連携を行うことができ、初心者でも扱いやすくなっています。ブログなど様々なタイプのコンテンツを作成する機能や、豊富なプラグインも提供されています。
SNSを活用したEC販売
購入の流れは主に以下のようなステップです。
- 店のインスタのフィードから購入したい商品を選ぶ
- Bio(インスタのプロフィール欄)記載の連絡方法やDMを通して連絡をする
- 売り手とやり取りを開始する(商品がまだあるか聞くなど)
- 購入フォームに記入する
- 商品の合計金額が通知される
- 「銀行振込」または「代引き」で支払う
- 「代引き」:売り手がレシートと製品の追跡番号を提供
- 「銀行振込」:売り手の口座に振り込んだら、振り込み証拠を送付
Facebookも購入の流れはほとんど一緒ですが、商品を選ぶ時が少し違います。
- Facebookのグループ機能を使い、売り手が投稿した商品から好きなものを選ぶ
- 購入したい商品の投稿にコメントする
- 売り手から返信があったら、やり取りの場をDMに移す(WhatsAppなども活用される)
- 以下はインスタと同様
SNSで通販するメリットとは
買い手からすると、ECモールではなくSNSから何かを購入する一番のメリットは、「店(出品者)と直接やりとりできる」ということではないでしょうか。各ECモールにもチャット機能はありますが、なかなか返信がなかったり、会話が遅々として進まなかったりすることもあります。
一方、SNSで直接問い合わせれば、より高い確率で、しかもすばやく返事がもらえます。対応の様子を見ながら、信用できる店かどうかを判断することもできます。「注文したのに在庫切れでキャンセルになった」という、インドネシアのECモール経由でのショッピングで起こりがちなトラブルも回避できます。
「店と直接やりとりできる」というメリットは、特に「特別なリクエストが必要な商品の購入」の際に重視されます。
例えば、
- オーダーメイドの服やケーキ
- 受注生産の家具
- 名入れをしたりメッセージを添えたりしたい贈り物
- 発送日を指定したい注文 ・・など。
InstagramやFacebookのコメントやDM機能、またはWhatsAppなどのチャットアプリは、こうした注文をしたい場合に便利で安心です。
インドネシアECで人気の商品カテゴリー
前述したShopee(ショッピー)とTokopedia(トコペディア)で売れている商品をリサーチしました。


上記のグラフを翻訳して並べると下記の表になります。
Shopee | Tokopedia | |
1位 | ファッション | ファッション |
2位 | ビューティー | 健康と衛生(同率1位) |
3位 | 電化製品 | 食料品 |
4位 | 健康と衛生 | 電化製品(同率3位) |
5位 | 食料品 | ビューティー(同率3位) |
6位 | フィットネス・ホビー | フィットネス・ホビー |
7位 | ベビー用品 | ホームリビング |
8位 | ホームリビング | ベビー用品(同率7位) |
9位 | トラベル・レジャー | トラベル・レジャー |
それぞれのモールに特徴があり、ユーザー層も少し異なるため、自分たちの商品をどのECモールで販売するかは注意深く検討する必要があります。
例えばShopeeは、ファッション製品や美容用品といった自分を装飾したりケアしたりするものが人気。一方、Tokopediaもファッションが人気ですが、ファッション以外は健康と衛生に関わる製品や食料品など、日々の生活に必要な日用品や消耗品がよく購入されていることがわかります。
まとめ
コロナ禍の影響もあり、日本と同様にインドネシアでもECでの取引が増えています。また、今後のEC市場の成長性を考えると、インドネシアに進出をしておいた方が良いと考える日経企業様も少なくありません。
そういった企業様からのお問い合わせも最近は増えており、二人三脚でインドネシア市場進出のお手伝いをさせていただく機会を多くいただいております。
実際にインドネシアへ進出するかどうかを検討する前に、まずはインドネシアという市場が自社にとって魅了的か否かを把握する上でも、弊社に気軽にお問い合わせをいただき、情報収集をしていただければと思います。
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読後のお願い
弊社で公開している記事の1つ1つは、日本人とインドネシア人のライター、日本人とインドネシア人の編集者がそれぞれ協力しながら丁寧に1記事ずつ公開しています。
記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。
そこで、弊社からの不躾なお願いになってしまうのですが、是非SNSでこちらの記事をご紹介いただけないでしょうか。一言コメントを添えてシェアしていただけると本当に嬉しいです。そうやってご紹介いただくことで関係者全員の励みにもなりますので、どうか応援宜しくお願いします!
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SNSでも積極的に情報発信をしています
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