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インドネシアの首都移転計画の概況と課題、日本企業参画の可能性

公開
2023/06/21
更新
2024/02/03
この記事は約6分25秒で読めます。

2019年8月、インドネシアのJoko Widodo(ジョコ・ウィドド)大統領は、首都をジャワ島のジャカルタからカリマンタン島へ移すことを発表しました。

カリマンタン島といえば、オラウータンが生息する熱帯雨林が広がる自然豊かな島。インドネシアの大都会ジャカルタから、自然豊かなカリマンタン島へなぜ首都移転を決めたのか、発表当初は多くの疑問の声が上がりました。

今回は、インドネシアの首都移転計画の経緯や移転先について、また、現在の進捗と今後の見通しなどを解説します。日本企業がどのように関われる可能性があるのかについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。

インドネシアの新首都はカリマンタン島「ヌサンタラ」

新首都ができるカリマンタン島はジャカルタから約2,000キロメートル離れており、豊かな自然が残る島として知られています。

インドネシアの首都移転先は、そんなカリマンタン島の東カリマンタン州にあるKabupaten Kutai Kartanegara(クタイカルタネガラ県)とKabupaten Penajam Paser Utara(北プナジャムパスル県)にまたがる場所です。

新首都名は「Nusantara(ヌサンタラ)」で、ジャワ語で「群島」を意味します。これは、数えきれないほどの島々から成るインドネシアを表した言葉です。

過去にも首都移転の話は幾度と出てきましたが、それが実行に移されることはなかったインドネシア。2022年1月に法案が可決されたことで、世界からの注目を集めました。

首都移転の理由

首都移転といっても、すべての機能をジャカルタから移すわけではありません。経済機能を担うのはジャカルタのままにし、主に政治機能を新首都へ移行する予定です。

ジャカルタはインドネシアで最も発展した都市であり、すでに国内外多くの企業が拠点を構えています。首都を移転しても経済機能をジャカルタに残すことで、混乱を防ごうという考えがあります。

とはいえ、完全移転までの間に政治機能の鈍化を生まないか、新旧首都に距離があることで経済に何らかの弊害が起きないかが心配されます。

このような懸念材料があるにもかかわらず、インドネシア政府が首都を移転したいのはなぜなのか、その理由をみていきます。

人口の密集

ジャカルタは約1,000万人の人口を有する、インドネシア最大の都市です。Jabodetabekと呼ばれるジャカルタと近郊の合計5つの都市(ジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシ)を合わせると人口は約3,000万人で、東南アジアでも有数の大都市圏となっています。

経済活動が活発な一方で、ジャカルタは人口密集による大気汚染や交通渋滞などの問題も抱えています。特に交通渋滞は、調査によっては世界ワースト1位に選ばれるほどの深刻さで、問題視されています。さまざまな対策が取られていますが、状況が大きく改善することなく今に至ります。

地盤沈下

首都移転の理由として、地盤沈下が進んでいることも挙げられます。経済発展が進むジャカルタには多くの企業や工場が進出しており、ビルや工場などが地下水を過剰に汲み上げたことによって地盤沈下が進んでいます。

特にジャカルタ北部では、1970年以降で最大4メートルも地盤が沈下しており、洪水や高潮の水害リスクが大きくなっています。インドネシア政府は防波堤を作るなど災害リスクの緩和に務めており、今回の首都移転もこの地盤沈下対策の1つだと言えます。

参考:JICAプロジェクトブリーフノート「インドネシア国ジャカルタ地盤沈下対策プロジェクト」

経済格差

インドネシアは地域間で経済格差が大きく、都市部と農村部では最低賃金に2倍の差があるケースもあります。ジャカルタからの首都移転には、ジャカルタに一極集中している経済を分散させ、インドネシア全体で豊かになろうという狙いもあります。

首都移転のスケジュールと現在の状況

2019年にJoko Widodo大統領が首都移転を発表し、2020年1月に議会で可決。それから現在に至るまでどのくらい計画が進んでいるのか、ここでは首都移転のスケジュールと実際の状況をみていきます。

2022年移転開始、2045年移転完了予定

インドネシアの首都移転は、2022年から2045年にかけて段階的に行われる予定です。その計画スケジュールは、下記の通り5つのフェーズに分けられています。

  • フェーズ1(2022~2024年):
    道路や電気、水道など基礎インフラの敷設と行政、立法、司法などの機関の移転
  • フェーズ2(2025~2029年):
    工業団地や観光関連施設などビジネス促進のための複合エリアの開発
  • フェーズ3(2030~2034年):
    水道や電力、ゴミ処理インフラの拡張や輸送システムの開発、工業団地など拡大
  • フェーズ4(2035~2039年):
    スマートシティに向けた実装、教育やヘルスケア分野への注力
  • フェーズ5(2040~2045年):
    全ての中央政府の機関と機能の移転完了

新首都は、緑あふれる都市「グリーンシティ」と、新技術を活用した「スマートシティ」をコンセプトとしています。

その1つが、ヌサンタラでは公共交通機関の80%が自動運転になる計画です。自動運転の交通機関が交通秩序を守り、歩行者や自転車の人が安心して移動できるようにすることも、スマートシティ構想の大切な取組みです。

参考1:ジェトロ「新首都ヌサンタラに関する法律施工(添付資料)|P158~171. Tabel 4-1 Rencana Penahapan Pemindahan dan Pembangunan IKN」
参考2:みずほ銀行「Mizuho Short Industry Focus インドネシア首都移転の現状と日本企業に求められる取り組み|P2. 【図表 3】 計画スケジュール」
参考3:TEMPO.CO「New Capital City of Nusantara 70 Percent ‘Green’ and ‘Smart’ Says Jokowi」

選挙や予算の問題から先行き不透明

インドネシア政府は上記の計画スケジュールを立てていますが、実際のところ計画通り順調に進んでいるかというと、雲行きは怪しいと言えます。

計画が難航している理由として、選挙や予算の問題が挙げられます。インドネシアでは大統領の連続3選が認められておらず、2024年2月に行われる大統領選挙に現職のJoko Widodo大統領は出馬できません。そのため次の大統領によっては、首都移転計画が変更されるリスクがあります。

また、もう1つの懸念点である予算(資金調達)の問題については、次で詳しく説明します。

首都移転に向けた課題

選挙のほかにも、インドネシアの首都移転を難航させる要因はあります。ここでは、資金調達と先住民の2つの側面から、首都移転に向けた課題を見ていきます。

資金調達が難航

インドネシアの首都移転は、総額で最大486兆ルピア(4兆5,700億円)がかかるプロジェクトで、そのうちの8割を民間からの資金調達で賄う予定です。

2020年にはソフトバンクグループの孫正義社長がJoko Widodo大統領と会談し、スマートシティ分野での出資を協力する意向を見せていました。しかし、2022年3月には出資を取りやめしています。なお、出資取りやめの理由は明かされていません。

ソフトバンクが出資を見送りしてから、この首都移転プロジェクトに名乗りを上げる大口の出資者はまだ見つかっていないのが現状です。4兆円規模のこの大規模プロジェクトにおいて、大口出資者の不在は大きな影響を与えると考えられます。

円表記は2023年6月4日のレート(1ルピア=0.0094円)で換算し、記載しています。

参考1:ジェトロ「新首都ヌサンタラに関する法律施行」
参考2:みずほ銀行「Mizuho Short Industry Focus インドネシア首都移転の現状と日本企業に求められる取り組み|P3. 新首都ヌサンタラの課題」

取り残される先住民

カリマンタン島に首都を作るとなると、熱帯雨林を切り開くことになります。この森林破壊は森に住む生物への影響も少なくないと批判的な声が多く、今もまだ国民から完全な理解を得られていない状況です。

また、首都ができる場所に住んでいる人々が住む場所を失うことにもつながります。新首都ができる場所には、ダヤック族など少数民族が住んでいます。先住民族の中には土地の所有権を持っていない人も多く、インドネシア政府との交渉では不利な立場にあり、強制的に土地を追われる可能性があります。

首都移転と日本企業の関わり

インドネシアの首都移転には課題がまだ山積みではあるものの、日本企業にとってはポジティブな側面もあります。高い技術力を持つ日本企業の協力をインドネシア政府が期待していることもあり、多くの分野で日本企業が活躍できる可能性があります。

そこで最後に、インドネシアの首都移転プロジェクトと日本企業の関わりや、インドネシア政府が日本企業へ期待することなどを紹介します。

環境インフラへの貢献に期待

インドネシアの新首都は、環境に優しい「グリーンシティ」を強く意識しています。グリーンシティ構築には環境インフラの整備が不可欠であり、環境インフラの高い技術を持つ日本企業の参画へ期待がかかります。

首都移転に向けてインドネシアで開かれたセミナーでは、日本企業がさまざまな技術をインドネシアのプロジェクト関係者へ向けて宣伝しました。

例えば、セミナーで紹介されたプラスティックの端材を使った冷蔵庫の製造や、二酸化炭素排出の削減につながる火力発電所技術などは、新首都ヌサンタラのグリーンシティ実現に貢献する内容となっています。

参考:NHK「首都移転予定のインドネシアで日系企業が環境技術をPR」

建設・設計企業の現地視察

2023年4月1日から2日、日本の住宅・建築・都市分野の企業視察団が新首都予定地を視察に訪れました。

現在、インドネシア政府は首都移転計画のフェーズ1「基礎インフラの敷設」に取りかかっており、一部のダムなどは進捗が88%と大きく進んでいるものの、これから新たに建設を始めるダムもあり、進捗にまだばらつきがある状況です。

ジャカルタの都市高速鉄道建設など、過去にもインドネシアの大規模プロジェクトに携わってきた日本企業。建設や設計は、日本企業の高い技術に期待できる分野です。

そのほか、2023年5月21日に広島で開催されたG7サミットにおいて、独立行政法人都市再生機構とヌサンタラ新首都庁が首都移転計画に関する協力覚書を交わす動きもみられました。

この覚書は、首都移転に関する情報・意見交換を目的としており、日本企業のプロジェクト参画の足掛かりになりそうです。日本の高い技術をインドネシアの首都移転プロジェクトで活かせるのか、今後の動きに注視したいところです。

参考1:ジェトロ「日本の住宅・建築・設計関連企業が新首都「ヌサンタラ」を視察」
参考2:UR都市機構「インドネシア共和国ヌサンタラ新首都庁と首都移転計画に関する協力覚書を交換」

インドネシアの首都移転による影響について知りたい企業様へ

インドネシアの首都移転には日本企業が活躍できる可能性が潜んでいます。日本の環境や建築分野における技術はインドネシア政府からの期待も大きく、この首都移転プロジェクトは日本の技術を世界にアピールできるチャンスでもあります。

その一方で、インドネシア政府はカリマンタン島への首都移転に向けて動いているものの、まだまだ不確定要素が多いことを念頭に置く必要もあります。資金調達の問題だけでなく、選挙など大きな政治イベントが控えていることからも、状況が大きく変わる可能性はゼロではありません。今後の動向を、慎重に見ていく必要がありそうです。

現在の首都ジャカルタを始めとするインドネシアの現地視察、オンライン・オフラインの市場調査など、気になることがあればぜひお気軽にお問い合わせください。


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インドネシアでの現地視察・現地訪問

インドネシアは東南アジア最大の市場のため、進出を検討される企業様は少なくありません。そういった企業様向けに現地視察のご案内をしています。

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インドネシアの首都はどこに移転しますか?

インドネシアの新首都ができるのは、カリマンタン島の東カリマンタン州クタイカルタネガラ県と北プナジャムパスル県にまたがる場所です。

インドネシアの首都移転はいつ行われる予定ですか?

インドネシアの首都移転は、2022年から~2045年にかけて段階的に行われる予定です。

インドネシアの首都移転にはどのような課題がありますか?

資金調達が難航していること、先住民から確実な理解を得られていないことなどが、インドネシアの首都移転の課題として挙げられます。


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