インドネシアのライブコマース事情(人気のプラットフォームや成功事例)
- 公開
- 2023/09/21
- 更新
- 2024/01/12
- この記事は約7分56秒で読めます。
コロナ禍をきっかけに、インドネシアで需要が高まっているオンラインショッピング。なかでもライブ配信を通して商品を売るライブコマースは、デジタルに強い若者世代とSNS好きが多いインドネシア人の国民性にマッチする販売手法として、注目を集めています。
ShopeeやTikTokなどさまざまなプラットフォームがライブコマース事業に参入していますが、インドネシアでは一体どのプラットフォームが人気を集めているのでしょうか。
本記事では、インドネシアのライブコマース事情を紹介するとともに、ライブコマースで成功したインドネシア人やインドネシアの企業をまとめました。
ライブコマースとは
ライブコマースとは、ライブ配信とECを組み合わせた販売手法のこと。ShopeeやTikTokなどのECプラットフォームやSNSプラットフォーム上でライブ配信を行い、ユーザーに商品の購買を促す新たなプロモーションの形として注目されています。
ライブ配信中はコメント機能を通して視聴者の質問に答えることができ、従来のECサイトでは難しかった双方向のコミュニケーションができること、静止画では伝えにくい使用感を、商品を手に持ったり動かしたりすることで伝えられるのが大きな特徴です。
インドネシアのライブコマースの現状
調査会社Jakpatが2022年に実施した調査によると、回答者の83.7%がライブコマースの配信を視聴したことがあるとのこと。
インドネシアではコロナ禍をきっかけにオンラインショッピングの需要が高まっており、その1つとしてライブコマースが注目を集めています。
後ほど詳しく説明しますが、実際にさまざまな企業がライブコマースに参入しています。企業だけでなく、インフルエンサーや一般人がライブコマースで成功する事例も出てきています。
参考:databoks「Survei Jakpat: Shopee Rajai Penggunaan Live Shopping di Indonesia」
インドネシアにおけるライブコマース人気の背景
インドネシアでライブコマースが人気な背景の1つが、平均年齢32.1歳という若者世代の多さです。高齢者と比べて若者世代は新しい技術やデジタルに強く、娯楽性の高いライブコマースへの抵抗感が低いことが考えられます。
もう1つの背景として考えられるのが、SNSが好きなインドネシア人の国民性です。例えばインドネシアのTikTok利用者数は約9,980万人で、アメリカに次ぐ世界第2位となっています。
TikTokやInstagramなど主要なSNSプラットフォームの多くはライブ配信機能を搭載しており、SNSの投稿を見ている間にライブコマース動画が目に入る人も多く、その流れでオンラインショップにアクセスしたり商品を購入したりしている可能性もあります。
ライブコマースで成功したインドネシア人の事例
昨今は、信用力の高い企業だけでなく、芸能人やインフルエンサー、個人がライブコマースで成功しており、さまざまな人がライブコマースに参入しています。
ここでは、ライブコマースで成功したインドネシア人の事例を紹介します。
インフルエンサーのFuji Utami(フジ・ウタミ)
若手アーティスト兼コンテンツクリエイターのFuji Utami(通称Fuji An)氏が2023年8月29日、Shopee Liveで自身が手がける商品を3,000点以上販売しました。
同氏はもともとInstagramのフォロワー数1,300万人を超えるインフルエンサーですが、Shopee Liveを活用した商品販売は初の試み。コメント機能を利用してFuji Utami氏と直接やりとりできることでファンは盛り上がり、いくつかの商品は即完売となりました。
Fuji Utami氏は今後も、Shopee Liveでのライブ配信を継続したいと述べています。また今回同氏がShopee Liveで大きな成果を残したことを受けて、ほかにもライブコマースに参入するインフルエンサーが増える可能性があります。
参考:CNBC INDONESIA「Cerita Seru di Shopee Live! Fuji Jual Lebih Dari 3.000 Produk」
カーテン販売で成功したKak Jill
カーテン屋を営むKak Jill(「ジール姉さん」という意味)氏がTikTok Liveを始めたのは、コロナ禍で店の売り上げが落ちたのがきっかけです。TikTok Liveで同業者がカーテンを販売している姿を見て、自身の息子にLive配信の仕方を教えてもらいながら始めました。
派手なメイクと独特のヘアスタイル、視聴者を「ダーリン」と呼ぶ奇抜さと親しみやすさで、ライブ配信を始めてからすぐに話題を呼んだKak Jill氏。TikTokのフォロワー数は100万人を超え、今ではテレビ番組に出演するなど一気に知名度を上げました。
具体的な売り上げについては明言していませんが、TikTok Liveを通して売り上げがかなり伸び、今ではオフラインよりもオンラインでの販売のほうが多いとのことです。
参考:Jill Gorden
インドネシアで人気のライブコマースサービス

次に、インドネシアで特に視聴されているライブコマースサービスを紹介します。
以下は、Jakpatが2022年6月に2,712人を対象に実施した、「視聴したことがあるライブコマース」の調査の結果です(複数回答)。
- Shopee Live(83.4%)
- TikTok Live(42.2%)
- Instagram Live(34.1%)
- Tokopedia Play(30.4%)
最も利用されているライブコマース配信先はShopee Liveで、以降、TikTok Live、Instagram Live、Tokopedia Playという結果になりました。
参考:databoks「Survei Jakpat: Shopee Rajai Penggunaan Live Shopping di Indonesia」
Shopee Live(ショッピー・ライブ)
インドネシアで最も利用されているライブコマースのShopee Liveは、東南アジア最大のECプラットフォームShopeeが提供しています。
視聴者にとっては、リアルタイムで配信者と会話できるのに加えて、何度でも「いいね!」を付けられるので、好きな配信者を気軽に応援できるのが魅力。配信者にとっては、今売りたい商品を生配信で紹介でき、しかもクーポンをプレゼントできるなど購買につなげやすい機能を活用できる点が魅力です。
TikTok Live(ティックトック・ライブ)
TikTokの利用者数が多いインドネシアでは、TikTok Liveも人気を集めています。TikTok Liveの特徴は「ギフティング(投げ銭)」機能が搭載されていること。人気の配信者は、商品の販売に加えて、ギフティングから収益を得ることも可能です。
TikTokにはライブ配信中のアカウントだけを探せる検索機能や、おすすめのライブ配信が表示されるレコメンド機能などがあるため、多くの人に自身のライブ配信を知ってもらい、認知を拡大できるチャンスがあります。
Instagram Live(インスタグラム・ライブ)
Instagram Liveも、ライブコマースとして活用されています。Instagramのアカウントさえあれば複雑な操作なしで気軽に始められることから、芸能人やインフルエンサーだけでなく、一般の人も多く利用しています。
ただし、ライブコマースに特化したプラットフォームではないので、欲しい商品がある場合はオンラインショップなどにアクセスする必要があり、Instagramで商品を直接購入できないのがデメリットでもあります。
Tokopedia Play(トコペディア・プレイ)
Tokopedia Playは、インドネシアで人気のECプラットフォームTokopediaのライブコマース機能です。Tokopediaでオンラインショップを運営している人が、既存のショップの売り上げ増加を目的に利用するケースがよく見られます。
リアルタイムで商品を直接購入できるのでわざわざ別のサイトにアクセスする必要がない、割引キャンペーンで安く購入できるなど、つい購入したくなる、ECプラットフォームならではの多彩な機能が搭載されています。
そのほかのライブコマース
上記で紹介した4つのほかには、Facebook Liveを利用していると答えた回答者もいました。Facebookは世界で最もユーザー数が多いSNSで、インドネシアにも約1億7,650万人のユーザーがいます。
そのほか、アリババグループが運営するECプラットフォームLazadaのLazada Live、インドネシア国内のECサイトとして安定した人気を誇るBukalapakのBuka Liveなども一定数の利用者がおり、今後の伸びしろが気になるところです。
2023年10月現在、インドネシアではSNSプラットフォームがショッピング機能(EC)を提供することが禁止され、TikTokショップやInstagramショップは営業を停止しています。ライブ機能を利用した商品の宣伝は引き続き可能です。
ライブコマースと相性のよい商品カテゴリー
参考までに、市場調査会社Ipsosのレポートより、東南アジアのライブコマースで最も購入された商品のジャンルを紹介します。
- ファッション・靴(72%)
- 美容(41%)
- 家庭用品(41%)
- 食料品(37%)
- おもちゃ(20%)
ライブコマースと相性のよい商品の特徴として、「色味や使用感が商品価値に大きく影響するもの」が挙げられます。
例えば1位の「ファッション」の代表である服は、色味や生地の厚さ、シルエットなどを事前に確認してから購入したい人も少なくありません。ライブコマースの配信者が実際に着ている姿を見て自分に似合うかどうかを確認できたことが、購入に繋がるケースもあります。
化粧品などの美容関連商品も同様に、ライブコマースならパッケージからだけではわからないリアルな色味やつや感、使用感を確認できます。コメント機能を使って配信者に直接質問できるので、「想像していた色や使用感と違った」という失敗リスクを下げられます。
参考:databoks「Ini Deretan Produk yang Paling Banyak Dibeli dari Belanja Online di Live Streaming」
ライブコマースを活用して成功した企業事例
最後に、ライブコマースを活用して成功したインドネシアの企業を紹介します。
Madame Gie(マダム・ジー)

Madame Gieは2018年に設立されたインドネシアの化粧品ブランドの会社で、手ごろで安全性の高い商品に定評があります。公式ECサイトのほか、ジャカルタやスラバヤなどにも公式ショップを展開しています。
同ブランドはTikTok Liveをメインにライブ配信をしており、ライブ配信限定でさまざまな商品が安くなる割引キャンペーンを実施しています。また、無料配送のプロモーションが適用されれば、通常よりも安価に購入できると評判です。
ライブ配信中は配信者が視聴者のコメントに返答したり、視聴者におすすめの化粧品やボディケア商品を紹介したりと、交流が活発な点も特徴です。
参考:TikTok「madamegiecosmetic」
Avoskin(アフォスキン)

Avoskinはインドネシアの化粧品ブランドの中では比較的価格帯が高く、主に働く女性をターゲットにしています。インドネシアでは日本や韓国の化粧品ブランドも人気を集めていますが、それらと遜色のない品質で、肌色を明るくする効果があると評判です。
TikTokアカウントのフォロワー数は60万人を超えており、昼はTikTok Live、夜はShopee Liveと分けて配信しているのが特徴。異なるプラットフォームで高頻度のライブ配信を行うことで、幅広い顧客へリーチしています。
参考:TikTok「avoskinbeauty」
ライブコマースがインドネシアで主要な販売ツールとなる可能性
インドネシアの年齢構成やインドネシア人の気質とライブコマースは相性がよく、これからさらに盛り上がりを見せていく可能性もあります。
インドネシアの企業の中にはライブコマースに特化したマーケティングチームを持つところもあり、オンラインショッピング市場の成長とともにライブコマースへの注目度は上がってくるかもしれません。
インドネシアで商品やサービスを販売するのであれば、ライブコマースを含めたオンラインショッピングについて調査してみるのもおすすめです。インドネシア進出をお考えの企業様は、本記事をぜひ参考にしてみてください。
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