インドネシアのLPK(職業訓練機関)の設立方法と注意点に
- 公開
- 2024/06/14
- 更新
- 2024/12/09
- この記事は約7分49秒で読めます。
インドネシアで技能実習に関連するビジネスをしたい、あるいはインドネシア人の技能実習生を採用したいという方は、LPK(Lembaga Pelatihan Kerja、職業訓練機関)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
LPKはインドネシア人登録者が職に就くためのあらゆるサポートを行う機関で、法人だけでなく、個人や財団もLPKとして事業を行うことができます。
そこで本記事では、LPKの詳細や技能実習との関係性、インドネシアでLPKとして事業を始めるための資格・方法などをまとめました。LPK取得にあたっての注意点もまとめているので、参考にしてみてください。
尚、LPKとは職業訓練機関であるため、語学学校を指す言葉ではありません。最近、弊社に人材紹介会社様からのお問い合わせが増えており、「LPK=語学学校」と認識されている方が少なくありませんでしたが、厳密にはLPKは語学学校だけを指す言葉ではありません。
円表記は2024年6月7日のレート(1ルピア=0.0096円)で換算したものです。
LPK(職業訓練機関)とは
LPKはインドネシアの職業訓練機関で、インドネシア人登録者が国内外で職に就くためのさまざまなサポートを行っています。主なサポート内容は、言語スキルや各技能を習得するための教育と求人情報の提供です。
LPKとして活動している団体の多くは法人ですが、政府関連団体または個人や財団など法人以外のLPKもあります。2024年5月時点で、法人のLPKはインドネシアに2,376機関あり、年々着実に数が増えています。
LPKの資格取得条件
インドネシアでは、法人を設立する際にKBLIコードと呼ばれる事業コードを取得しなければいけません。KBLIコードはインドネシア政府が公表している事業分野ごとの番号のことで、それぞれの番号で事業内容や事業範囲、リスクレベルなどが定められています。
LPKとして事業を行いたい場合は、職業訓練に関わる以下のいずれかのKBLIコードを取得する必要があります。
- 78421(技術者職業訓練)
- 78422(情報技術職業訓練)
- 78423(クリエイティブ産業職業訓練)
- 78424(観光・ホスピタリティ職業訓練)
- 78425(ビジネス・管理職職業訓練)
- 78426(家政婦・介護・保育などの職業訓練)
- 78427(農業・水産業職業訓練)
- 78429(その他の職業訓練)
なお、外資法人であっても、上記のKBLIコードのいずれかを取得していれば、LPKになることができます。
KBLIコードの詳しい情報を知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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技能実習とは
技能実習は1993年に創設された制度で、2023年10月時点で41万2,500人ほどの技能実習生が日本に在留しているとされています。同制度は外国人を日本に一定期間受け入れ、日本の技能や技術、知識を伝え、期間満了後に当該地域へ持ち帰って活かしてもらうことを目的としています。
発展途上国の経済発展を担う人材の育成を目的に始まった技能実習制度ですが、2024年に現行の制度が廃止されることが決まりました。2027年以降、今までの国際貢献を目的とした制度から、外国人人材の確保を目的とした「育成就労」制度に段階的に変わる予定です。
なお、技能実習と似た制度に「特定技能」がありますが、特定技能は企業の人材確保を目的としており、国際貢献を目的とした従来の技能実習とは異なります。より詳しい情報を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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参考:厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」
LPKと技能実習の関係
LPKは登録者が国内外で職に就くためのサポートを行う機関で、実際に海外へ労働者を派遣する業務は認められていません。言語や技能の研修を行った後は、登録者をSO(Sending Organization、送出し機関)へ引き継ぐことになっています。
日本の技能実習制度において、SOは技能実習生の募集や選定、応募者と日本の管理団体との橋渡しなどの役割を担っています。
SOになるためには、まずLPKの資格を取得しておく必要があります。最近はSOの資格を持つLPKが増えており、実際は1つの機関が送出しまで行うケースも少なくありません。
LPK(職業訓練機関)の資格取得方法
置かれている状況によって、LPKの資格取得方法には以下の3つのパターンがあります。
これから法人を設立する場合
職業訓練事業を手がける企業として、該当するKBLIコードを取得して法人を設立してからLPKの資格申請をする
すでに法人があり職業訓練事業のKBLIコードを持っている場合
特別な事前準備は不要
すでに法人があるが職業訓練事業のKBLIコードを持っていない場合
該当するKBLIコードを新たに取得してからLPKの資格申請をする
LPKの資格取得
職業訓練関連の事業自体は職業訓練のKBLIコードを取ればできますが、LPKの資格も取得することで、地方政府に認可されているという信頼性を示すことができます。
法人がLPKの資格を取得するためには、まず、上述の職業訓練事業のためのKBLIコードのうちのいずれかを取得する必要があります。取得後、地方の役所へLPKになるための許可を申請します。
法人LPKの資格取得の際には、以下の情報が必要です。
- 責任者の身分証明書および履歴書
- NPWP(納税番号)のコピー
- 組織構造および職務内容が分かるもの
- LPK の1年間の業務計画と資金調達計画
- 認定を受けた講師および訓練担当者のリストと履歴書
- 職業訓練施設やインフラの所有権、またはそれをレンタルすることを証明するもの
ただし、事業の内容によってはほかの情報や書類が必要になる場合もあるため、詳細は地方役所の担当課に問い合わせるようにしましょう。
参考:Disnakertrans Kabupaten Paser「Persyaratan Penting Untuk Mendirikan Lembaga Pelatihan Kerja」
研修機関の登録
LPKとして活動するためには、KBLIコードの取得に加えて、研修機関(職業訓練事業を行う場所)自体の登録が必要です。研修機関の登録が完了すれば、LPKとして活動することが正式に認められます。
登録は、インドネシアの労働省のWebサイトから行います。
トップページ右上「Pendaftaran lembaga」をクリックし、必要事項を入力します。労働省のサイトを一度も利用したことがない場合は、まずはアカウント登録をするところから始めてください。
- Kementerian Ketenagakeerjaan Republik Indonesia:https://kelembagaan.kemnaker.go.id/

入力するセクションは大きく3つに分かれています。それぞれのセクションで以下の情報を入力するので、あらかじめ必要なデータや書類、画像ファイルを用意しておきましょう。
【研修機関の詳細】
- WLKP(義務的雇用報告書)登録コード
- 研修機関名
- 責任者の名前
- 設立年
- 研修機関の現在の状況
- 住所
- 研修機関の概要
【連絡先】
- 電話番号
- ファックス番号(任意)
- メールアドレス
- WebサイトのURL(任意)
【研修機関を運営する法人の信頼性】
- 法人の登録番号
- 法人の登録証明書
- NPWPの番号
- NPWPの登録証明書
- 登録担当者のKTP番号(ID番号)
登録証明書とNPWPの登録証明書は画像ファイルとしてアップロードします。
ここまで入力すれば申請が完了しますが、LPKの申請と同様に必要書類は状況によって変わるため、場合によっては追加で書類が求められる場合もあります。
参考:Kementerian Ketenagakerjaan Republik Indonesia「Bagaimana cara melakukan pendaftaran lembaga?」
LPK(職業訓練機関)の資格取得にあたっての注意点
LPKの資格を取得する際の注意点を紹介します。
該当するKBLI コードを取得する必要がある
「LPKの資格取得条件」で説明した通り、LPKとして事業を行うためには、該当するKBLIコードを取得しなければいけません。すでにインドネシアで会社を設立している方であっても、既存の事業が該当するKBLIコードとは異なる場合は、追加で職業訓練に関するKBLIコードを取得しなければいけません。
なお、インドネシアではKBLIコードごとに資本金を支払う必要があります。内資法人設立の資本金は1,250万ルピア(12万円)で済みますが、外資法人設立の資本金は100億ルピア(9,594万4,800円)と高額です。外資法人としてLPKの事業を始める場合は、まず資金面をクリアできるのかどうかを、よく検討する必要があるでしょう。詳しく知りたい企業様はこちらからお問い合わせください。
LPKの資格だけでは人材の送出し不可
LPKは職業訓練機関であり、登録者を海外へ送り出すための資格は持っていません。そのためLPKの資格だけで、人材のパスポートやビザの発行、空港送迎の手配、日本の受入れ団体との手続きなどはできないので、注意してください。
こういった送出しに関わる事業も行いたい場合は、送出し機関であるSOの認可を取得する必要があります。実際に昨今はSOとしての認可手続きを行っているLPKも増えており、1つの機関で職業訓練から送出しまで行う団体が多くなっています。
LPKの機関の例
最後に、技能実習生候補の育成を含め、LPKとして活動している機関を紹介します。
LPK Jembatan Karya Jepang(LPK・ジェンバタン・カルヤ・ジェパン)
LPK Jembatan Karya Jepangは、1970年に設立された老舗のLPKです。ジャカルタの西側に位置するTangerang(タンゲラン)に研修施設を構えており、日本語教育のほか、介護の現場で働きたい登録者向けの面接対策などを行っています。
LPK Jembatan Karya Jepangが所属するSJIグループにはほかに、力仕事に従事したい登録者向けの教育を行う「LPK Padang Center」などもあります。いずれも、歴史の長い老舗ならではの確かな教育ノウハウが強みです。
LPK HIKARI HARUKA(LPK・ヒカリ・ハルカ)
LPK HIKARI HARUKAは、スラウェシ島のManado(マナド)にあるLPK。日本語や韓国語、中国語、英語など、特に東アジアの言語の教育に力を入れているのが特徴です。
工事現場や自動車産業、アパレル、漁業、農業、印刷会社、看護師、介護士など、多様な職業に対応した知識・技能の習得をサポートしています。また、姉妹校には日本の職業訓練に特化した「LPK Cahaya Matahari Manado」があります。
ZEN INDONESIA(ゼン・インドネシア)
ZEN INDONESIAは2011年に設立されたLPKで、2022年までに1,000人以上が登録しています。溶接や機械加工、重機など特殊な技術を使って日本で働きたい人をサポートするプログラムを提供しています。
日本で働く際に役立つ言語と文化の教育に力を入れている点や、渡航前にインドネシア国内でのインターンシップ研修を実施している点などが特徴です。
LPKとして事業を始めるならまずは会社設立から
LPKとして事業を行いたい場合は、まずインドネシアで会社を設立する必要があります。インドネシアでの会社設立は日本とルールが異なるため、設立の段階で高いハードルを感じる企業様も少なくありません。
インドネシアでの法人設立に際しては、内資法人と外資法人どちらで進出するのか、どのKBLIコードを取得するのかなど、検討すべき項目が多々あります。また、すでにインドネシアで会社を設立している方であっても、LPKの資格取得に向けて書類を集めるなど、新たな作業や手続きを行うことになります。
こういった諸々の手続きに関して不安がある方は、弊社カケモチへお気軽にご相談ください。会社の設立や各手続きのサポートはもちろん、会社設立後の集客や事業運営に関わるサポートも行っています。
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インドネシアのLPKとは何ですか?
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LPKは、インドネシア人登録者が国内外で職に就くためのさまざまなサポートを行うインドネシアの職業訓練機関です。
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どうすればLPKになることができますか?
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LPKになるためには法人を設立後、職業訓練に関わるKBLIコードを取得し、地方の役所にLPKの登録申請を行う必要があります。
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インドネシアでLPKとして活動する機関の例を教えてください。
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インドネシアのLPKには、LPK Jembatan Karya Jepang、PK HIKARI HARUKA、ZEN INDONESIAなどがあります。
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読後のお願い
弊社で公開している記事の1つ1つは、日本人とインドネシア人のライター、日本人とインドネシア人の編集者がそれぞれ協力しながら丁寧に1記事ずつ公開しています。
記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。
そこで、弊社からの不躾なお願いになってしまうのですが、是非SNSでこちらの記事をご紹介いただけないでしょうか。一言コメントを添えてシェアしていただけると本当に嬉しいです。そうやってご紹介いただくことで関係者全員の励みにもなりますので、どうか応援宜しくお願いします!
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