インドネシア進出に伴うリスクや注意点
- 公開
- 2022/07/09
- 更新
- 2024/02/03
- この記事は約5分43秒で読めます。
インドネシアは非常に魅力的な市場の1つなので、東南アジア進出を検討されている日系企業様からよくご相談をいただきます。
そのなかで、「魅力的な市場なのは分かったけど、それに伴うリスクや注意点はないのか」というご質問は必ずと言ってよいほど聞かれます。
リスクとリターンは比例していると考えられるので、それほど魅力的な市場であれば、やはり考えておかないといけないリスクや注意点は存在するはずだと。そういった流れで日頃お客様にご説明しているリスクや注意点を、本記事で簡単にまとめてみました。
インドネシア進出のリスク
リスク1)規制や法の難しさ
インドネシアの規制構造は非常に複雑です。中央政府、地方政府あるいは特定の事項を監督する関連機関のいずれかによって施行され、その種類は多様で。また、施行された法もすぐに変わることがより一層理解を難しくしています。
複雑な規制や法を理解するのが難しいのはなにも日本人だけではなく、インドネシアの所轄の役人も同様です。役所で質問をしても、回答が担当者によって少しずつ異なることが頻発します。
リスク2)厳しい外資規制
インドネシアでは、外資法人設立の最低資本金は100億ルピア(約9,000万円)と定められています。
つい最近までは実際に銀行口座に払い込む資本金は25%でも構いませんでした。ところが、2021年から100億ルピア全額を資本金として銀行口座に払い込むようにと規則が変更され、外資による法人設立の難度が上がりました。
また、外国資本による会社設立が規制・禁止されている業種や、あるいは出資比率が制限されている業種、いわゆるネガティブリストというものが存在します。
リスク3)進出後の市場競争
インドネシアの市場は非常に大きく、また成長速度も速いので魅力的であることはご存知の通りです。
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市場が魅力的ということは、それに比例して参入する企業も増えていきます。日本からの参入はもちろん、日本以外の国からの参入も同様です。
つまり、魅力的な市場に進出して終わりではなく、インドネシアに進出してからが本当の勝負という部分は意識しておく必要があります。
リスク4)特定職種の採用制限
インドネシアでは、外国人が就けない特定の職種というものが存在します。それは例えば経理や人事が該当します。
よって、日系企業としてインドネシアに進出した際は、必ずこの経理や人事をお願いできるインドネシア人を探してこないといけません。
経理や人事は企業の成長を支える重要な部門なので、「インドネシア人しか採用できないからとりあえず適当に採用する」ではなく、採用に力を入れて探すことが重要です。
リスク5)最低賃金の上昇
地元メディアによると、アニス知事(当時)は、これまで445万3,945ルピア(約3万5,632円、1ルピア=約0.008円。2021年比0.85%増)と決定していた2022年の最低賃金を464万1,854ルピア(2021年比5.11%増)に引き上げる(「コンパス」紙12月19日)。
出典:2022年の州別最低賃金、首都ジャカルタ州知事が引き上げ発表(インドネシア) | ビジネス短信 – ジェトロ
インドネシアの最低賃金は毎年上昇しています。基本的に労働組合側が引き上げを支持する一方で、経営者団体や商工会議所は反発するという構図がありますが、それでも賃上げは実施されていきます。
賃金上昇と労働生産性の改善がセットで議論されると良いのですが、後者は置いてけぼりにされることが多いです。
インドネシア進出の注意点
注意点1)深刻な交通渋滞
インドネシアは世界最悪の交通渋滞を抱える国の1つとして有名で、インドネシアのジャカルタとインドのバンガロールあたりはよく話題にあがります。
この劣悪な交通事情を招いてしまっているのは交通インフラが整ってないことが一因です。
日本の東京で言えば、様々な地下鉄が東西南北に網の目のように張り巡らされていることで、車を使わなくても目的地までの移動が容易です。
ジャカルタの地下鉄の開発はまだまだこれからなので、今後10〜20年以上はこの交通渋滞は変わらないと思われます。ジャカルタで暮らす予定の人は注意しておく必要があります。
注意点2)文化の違い
当然ながら日本とインドネシアでは、それぞれが抱える文化背景が大きく異なります。
例えばですが、インドネシア人は人前で怒られるのを極端に嫌います。最悪、それが原因で会社を辞めることもあります。
よって、例えそのインドネシア人に大きなミスがあったとしても、そのミスを指摘する時は、個別で話せる部屋に呼んで指摘してあげる必要があります。
またその他にも、イスラム教徒のインドネシア人は1日に5回、お祈りの時間があります。お祈りの時間は仕事を中断しても行う大切な行為であり、それを禁止することはインドネシアではできません。
そういった文化の違いがほかにもたくさんあるので、それらを考慮しながら、マネジメントしていく必要があるのがインドネシア進出の注意点の1つです。
注意点3)仕事観の違い
インドネシア人は残業をする人が少ないです。それは日本人と違って、人生における優先順位が仕事よりもプライベートにあるからです。
よって、仕事で残業して22時、23時まで働くことよりも、定時で帰って家族とご飯を食べることの方が優先されます。
また、日本と違って、インドネシアでは転職に対するハードルが低く考えられています。経済成長著しいインドネシアでは、1つの企業にとどまっているよりも、転職をした方が給与が上がりやすいためです。
注意点4)中間管理職の人材不足
インドネシアに進出している日系企業様にインタビューをしても、この中間管理職の層の薄さに悩まれている方は多いです。
こういった中間管理職の人材不足は企業の競争力の低下に直結し、非常に大きな問題となっています。
ただし、これらの問題は一朝一夕ですぐに解決できる問題ではないので、中長期的な視点で取り組んでいく必要があります。
注意点5)従業員のモラル
実際には存在していない社員を作り上げ、経理担当が自分の権限を使って給与を振り込むなどの横領の話はよく聞きます。
また、飲食店を運営されている日系企業の担当者の方などに話を聞くと、どうしても一日のお金の出金、入金の帳尻が合わないという話も聞くことがあります。
「少額であれば大丈夫だろう」「多分バレないだろう」という従業員のモラルの低さに悩まされる可能性があることは、インドネシア進出の注意点の1つです。
インドネシア進出の誤解
誤解1)頻繁に爆破テロが発生する
インドネシアについての情報が少ない方は、中東やアフリカの一部の国で起きているような銃撃戦や爆破テロをイメージしてしまうのかもしれません。
ただ、インドネシアでそういった銃撃戦や爆破テロが発生する率は低いです。半年に1回あるかないか程度の頻度で、首都ジャカルタでそれが起きることは稀です。
日本でもインドネシアでも変わらないこととして、殺傷事件や誘拐事件は定期的に発生しています。正直、どこの国に暮らしていてもこれらの事件は発生すると言えます。
誤解2)国教はイスラム教である
イスラム教 86.69%、キリスト教 10.72%(プロテスタント 7.60%、カトリック 3.12%)、ヒンズー教 1.74%、仏教 0.77%、儒教 0.03%、その他 0.04%(2019年、宗教省統計)
上記の通り、インドネシアは約9割の人間がイスラム教ですが、イスラム教は国教ではありません。上記の宗教が全て国教と定められており、国民には信仰の自由が保障されています。
国としてこの多様性を維持しているのがインドネシアの魅力であると考えています。
誤解3)豚やお酒は一切販売されていない
イスラム教徒は豚やお酒を禁止されていますが、他の宗教にとってはそうではありません。
上述したようにインドネシアには複数の宗教が認められているため、彼らのために豚やお酒が販売されています。
特にジャカルタは外国人労働者も多いので、飲み屋やバーで簡単に豚もお酒も見つけることができます。
まとめ
インドネシア進出に伴うリスクや注意点をご説明しましたが、どこの国に進出するのであってもリスクや注意点はつきものです。
それでもインドネシアに進出したいと検討する企業様が多いのは、やはりその市場の魅力からくるところでしょう。
弊社では様々な日系企業様のインドネシア進出を支援しているので、是非一度ご連絡をいただければと思います。
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インドネシアに進出する日本にとって特に大きなリスクは何ですか。
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インドネシアに進出する日本企業にとって、現地の規制や法の複雑さはリスクの1つです。また、外資法人設立の最低資本金が100億ルピア(約9,000万円)と高額である点など外資規制の厳しさも、インドネシア進出を難しくする要因です。都市部であれば、深刻な交通渋滞も経営上のリスクになりえます。
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インドネシアに進出した日本企業が注意すべき点は何ですか。
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インドネシアに進出した日本企業は、現地の法律や規則に従うことはもちろん、現地の人たちとの仕事観や価値観の違いなどに注意する必要があります。
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インドネシアの国教はイスラム教ですか。
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インドネシアの人口の約87%がイスラム教徒ですが国境ではなく、キリスト教、ヒンドゥー教、仏教、儒教の信仰も認められています。
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