インドネシア最大のECプラットフォームTokopedia(トコペディア)の特徴と魅力
- 公開
- 2022/09/14
- 更新
- 2023/12/24
- この記事は約7分12秒で読めます。
インドネシアのECプラットフォームの筆頭であるTokopedia(トコペディア)は、同国内でEC販売を検討する際、必ずチェックすべきサービスです。しかし、Tokopediaはインドネシア生まれで、今のところ海外展開をしていないこともあり、日本にいるとなかなか情報が入ってこないという事情があります。
そこでこちらの記事では、TokopediaがどのようなECプラットフォームなのかを知っていただくべく、機能や人気商品カテゴリーの特徴、セラー・カスタマー双方にとっての魅力などをご紹介します。
Tokopedia(トコペディア)とは

Tokopediaは、「デジタルテクノロジーで経済格差を解消すること」を目指し、インドネシア人共同創業者2名によって、2009年に設立されました。
2022年現在、同社のECプラットフォームTokopediaの出店数は約1200万店、商品数は約8億6千500万点、訪問者数は1か月あたり約1億5千700万人です。2018年にインドネシアのスマホアプリとして初めてAndroid Excellenceに選ばれるなど、インドネシアを代表するオンラインサービスとなりました。

出典:databoks「10 E-Commerce dengan Pengunjung Terbanyak Kuartal I 2022」
企業としてのTokopediaの事業を見てみると、ECプラットフォームの提供の他、将来のデジタル人材を育成するための学習プラットフォーム「Tokopedia Academy」を開いたり、インドネシア大学内に「Tokopedia AI Center」を設置したりと、教育・研究、技術開発にも熱心に取り組んでいます。
出典:Tokopedia「Tentang Tokopedia: Ketahui Lebih Banyak Tentang Kami」
Tokopedia(トコペディア)を利用するメリット
セラーにとってのメリット
無料で始められる
Tokopediaには、「オフィシャルストア」を除くと、レギュラーマーチャント、パワーマーチャント、パワーマーチャントプロの3つのセラーランクがあります。
スタートの際の出店料は無料で、最初の100回の取引まではサービス手数料が免除されます。レギュラーマーチャントは利用できる機能が限られている代わりに、初心者でも始めやすいように敷居が低くなっているのです。
販売実績が増えると商品カテゴリーに応じて手数料が発生しますが、ランクアップして様々な機能を利用できるようになります。
提携配送業者が多い
現在13の配送業者がTokopediaの物流パートナーとなっており、セラーはその中から提携する配送業者を選べます。業者によってはピックアップサービスがあったり、送料無料の特典を利用できたりします。
シンプルで使いやすいシステム
Tokopediaによると、Tokopediaのセラーのうち、76.4%が「Tokopediaならビジネスを管理しやすい」と答えています。Tokopediaに出店する際に利用できる商品リストやカテゴリーの機能はシンプルでわかりやすく、未経験者でも使いやすいと評判です。
効果的な機能が多数
Tokopediaには、セラーが売り上げを伸ばすために使える機能がたくさんあります。例えば、パワーマーチャント以上のランクになると、商品ページに写真だけでなく動画をアップロードできたり、ライブ配信ができたりします。さらに、顧客や売り上げに関する分析結果が提供されたり、顧客からのチャットに返信するとボーナスがもらえたりと、サポート機能も充実しています。
実際に、セラーの74.2%が、「Tokopediaでビジネスをするようになって販売量が増えた」と答えています。
出典:Tokopedia「BERTAHAN, BANGKIT & TUMBUHNYA UMKMDI TENGAH PANDEMI MELALUI ADOPSI DIGITAL」
カスタマーにとってのメリット
セラーが全国にいる
Tokopediaに登録するセラーは広いインドネシアの99%の地区に広がっています。もちろんジャカルタなどの大都市に集中してはいますが、地方都市にも多くのセラーがいることは、地方に住む人たちにとって大きな魅力です。
とはいえ、自宅にいながら全国の店の商品を購入できるのがオンラインショッピングのメリットなのですから、セラーの所在地がどこなのかということは、カスタマーにはあまり関係ないように思われるかもしれません。
しかし、インドネシアには13,000以上の島があり、陸・海共に日本ほど交通網が発達していないという事情があります。遠くからの発送となると送料が高くなるのはもちろん、商品によっては近隣の県・市、あるいは同じ島内からしか注文できない場合もあります。国内の隅々にまでセラーがいるということは、インドネシアでは日本以上に重要なのです。
シンプルで見やすく軽量なWebサイト
Tokopediaのサイトレイアウトやカテゴリー、フィルター機能などは、オンラインショッピング初心者でも使いやすいように工夫されています。また、サイトが比較的軽く、操作しやすいのもメリットの一つです。
1つのアカウントで何でもできる

ショッピングの他、税金や公共料金の支払い、寄付、飛行機や電車、映画などのチケット購入、投資や保険の申込み、コンビニや飲食店などで使えるバウチャーの購入など、Tokopediaのアカウントを1つ持っているだけで、カスタマーは色々なことができます。
支払い方法が多様
選択できる支払い方法が多様なことも、Tokopediaを使うメリットです。例えば電子マネー、クレジットカード、各銀行のバーチャル口座、モバイルバンキング、ATM、コンビニや郵便局での振込みなど、インドネシアにおいて利用できるほぼすべての支払い方法から選べます。また、多くの場合、後払い、着払いも可能です。
Tokopedia(トコペディア)を利用するデメリット
セラーにとってのデメリット
価格競争が激しい
インドネシア国内最大のECプラットフォームであるがゆえに、Tokopediaのセラーは常に激しい競争にさらされます。利用者の少ない他のECプラットフォームと行き来して比較してみると、ほとんどの場合、同じ商品を販売する店がより多く見つかり、しかもより安い値段がついています。裏を返せば、セラーにとっては、「価格競争対策が必須」ということになります。
エラーやメンテナンスが多い
TokopediaのWebサイトやアプリは、エラーが比較的多く起こります。そのためかメンテナンスも頻繁で、カスタマーからの注文に迅速に答えたいセラーにとってはやや不便です。
カスタマーにとってのデメリット
カスタマーサービスに繋がりにくい
利用者が多いこともあってか、Tokopediaはカスタマーサービスに繋がりにくかったり、問い合わせても返信が遅かったりする場合があります。
アプリの更新が頻繁
Tokopediaのアプリは比較的よく更新されます。エラーが解消され使いやすくなるのは良いことですが、スマホの容量を圧迫するため、更新したくてもできないカスタマーもいます。
Tokopedia(トコペディア)で人気の商品カテゴリー
家具・家電、日用品が人気

上掲のグラフの項目を日本語に直したものが、以下の表です。
1位 | 家具、インテリア(ホーム・リビング) |
2位 | デコレーション(パーティー・DIY用品) |
3位 | 携帯電話 |
4位 | キッチン |
5位 | ビューティー |
6位 | 飲食料品 |
7位 | 事務用品・文房具 |
8位 | ヘルスケア |
9位 | 電化製品 |
10位 | 大工道具 |
Tokopediaで特に人気の商品カテゴリーは、家具やインテリア、電化製品などです。他に、キッチン用品や事務用品、DIY用品、大工用品が人気なのもTokopediaの特徴となっています。利用者数第2位のShopeeの人気商品がレディースファッションやおしゃれなインテリア・小物であるのに対し、Tokopediaは実用的なものや日用品に強いと言えます。
男性のカスタマーが多い
Tokopediaは女性よりも男性に人気があります。実際、2020年のラマダン(断食月)のオンラインショッピングに関する調査によると、「一番印象に残ったECプラットフォーム」としてTokopediaを挙げた回答者のうち、約71%が男性でした。一方のShopeeは、約60%が女性です。
人気の商品カテゴリーを見てもわかる通り、DIY用品や大工道具の取扱いが多いことが、Tokopediaが男性に選ばれる理由の一つとなっています。また、パソコン周辺機器を求めてTokopediaを訪れる男性も多いようです。
出典:DIGIMIND「10 Kategori Produk Terlaris di Tokopedia – Asosiasi Digital Marketing」
はっきりした目的のある買い物に最適
Tokopediaが男性に好かれる理由は他にもあります。それは、これまでも繰り返し述べてきた「シンプルさ」です。
一般的に、女性には「ショッピング自体」を楽しむ人が多く、同種のものを見比べて吟味したり、ライブ放送を見てみたり、買い物かごに商品を入れてから何日もかけて考え直したりする傾向があります。こうした女性たちにとって、Shopeeに比べてシンプルなTokopediaは、やや魅力に欠けるのかもしれません。
一方で、オンラインショッピングをする際にはっきりした目的があり、「必要なものを手軽に安く購入する」ことを重視する傾向がある男性にとって、Tokopediaは最適です。もちろん男性に限らず、同じ日用品を繰り返し購入したり、既に必要と決まっている家具や家電を購入したりするのに、Tokopediaはぴったりなのです。
出典:kumparan「Polarisasi E-commerce Berdasarkan Gender di Indonesia」
コロナ禍で健康用品と飲食料品が人気に
Tokopediaにおいてコロナ禍で急成長した商品カテゴリーは健康用品と飲食料品で、取引額はコロナ禍前に比べてそれぞれ154.1%、106.1%となりました。他にも、ペット用品が3倍、本や大工用品が2.5倍に増え、ゲームや自転車、家の補修用具を含む趣味関連の商品の売れ行きも好調です。
出典:Tokopedia「BERTAHAN, BANGKIT & TUMBUHNYA UMKMDI TENGAH PANDEMI MELALUI ADOPSI DIGITAL」
Tokopedia(トコペディア)とGojek(ゴジェック)の合併
GojekとTokopediaで「GoTo(ゴト)」に
2021年5月、Tokopediaは、タクシーの配車、フードデリバリー、買い物代行などのサービスを行うスマホアプリを手掛けるGojek と合併し、GoToグループを結成しました。インドネシア人なら誰でも知っている2つのスタートアップ企業の合併は、「国産ユニコーン(Tokopedia)とデカコーン(Gojek)の合併」ということで、大変話題になりました。
TokopediaとGojekは、それぞれ領域の異なる事業を展開しています。従って、合併の目的はそれぞれの領域で国内のシェアを拡大することではなく、自社の国際的な競争力をつけることや、世界におけるインドネシア企業の評価を高めることだと説明されています。
新機能「GoPay Coins」
TokopediaとGojekの合併により、ECプラットフォームTokopediaとスマホアプリGojekの間に、「GoPay Coins」というロイヤリティーポイントシステムが導入されました。
GoPay Coinsは、Tokopediaで特定のクーポンを使用して買い物をした場合などに付与され、Tokopediaでの買い物やGojekのサービス各種への支払いに利用できます。
日本人にとって、ショッピングにまつわる「ポイント」は非常に馴染みのあるものですが、インドネシアではさほど一般的ではありません。ですから、GoPay Coinsは多くのインドネシア人の目に真新しいシステムとして映っているはずです。
特性を見極め戦略的な出店を
インドネシアのECプラットフォームの中で、TokopediaとShopeeは二大巨頭となっています。
各種調査を見てみると、訪問者数や利用者数は、多くの場合Tokopediaが1位です。ただし、2位のShopeeとの差は小さい上に、アプリの新規インストール数、SNSのフォロワー数などを見ると、勢いという点ではShopeeの方が優勢と言えます。
インドネシアのECプラットフォームを利用するにあたっては、利用者数や店舗数の過多にとらわれず、より詳細な分析をした上で、自社商品を販売する場としてどこがふさわしいかを検討することをお勧めします。
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